セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
141:典型的形態に至る形態変化を観察し得たCap polyposisの一例
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演者 |
森原 大輔(福岡大学 医学部 第三内科) |
共同演者 |
西山 昌宏(福岡大学 医学部 第三内科), 前田 和弘(福岡大学 医学部 第三内科), 青柳 邦彦(福岡大学 医学部 第三内科), 溝口 幹郎(福岡大学病院 病理部), 向坂 彰太郎(福岡大学 医学部 第三内科) |
抄録 |
症例は77歳の女性。1997年12月中旬頃より少量の粘液便を自覚するようになり,次第に鮮血便(約10行/day)を認めるようなった。1998年1月5日近医でのsigmoidoscopyにて,直腸RSに易出血性の粗造粘膜を認め,生検にては悪性所見を認めず,下血が始まってから排便困難の訴えがあったことから,Mucosal prolapse syndromeを疑いSennoside(24mg)投与のみにて経過観察をされていた。その結果,徐々に下血回数は減少し,2月下旬には5~6行/dayの粘血便を認めるまで改善した。1998年3月,当科外来へ紹介受診となり,sigmoidoscopyにて肛門から7~20cmにかけて全周性に易出血性の膿性粘液付着を伴う扁平~発赤粘膜を認めた(生検所見:Colitis, Proctitis)。入院精査を勧めるも本人拒否のため、経過観察を行った。投与後は,2~3行/dayの粘血便を認めるまで改善したが,同年4月に行った検査にて貧血(Hb 10.9g/dl),低蛋白血症(TP 5.3g/dl)の増悪を認め,精査加療目的に当科1回目入院。直腸病変の確定診断目的にてEMRを施行。病理組織学的にMucosal prolapse syndromeに特徴とされる粘膜固有層のfibromuscular obliterationを認め,また,陰窩の延長と隆起頂部に炎症性肉芽組織の付着を認めたことから,病理組織上はCap polyposisに合致した所見であった。しかし,内視鏡所見は,扁平隆起~発赤粘膜を呈しており,Cap polyposisの形態とは異なっていた。以後,外来にて経過観察し,症状は著変認めなかったが、2001年12月に施行したsigmoidoscopyにて直腸の扁平隆起及び発赤粘膜が多発するポリープ状隆起に形態変化を認めたため精査目的で当科2回目入院。sigmoidoscopyにて,肛門縁より10cm位に径0.5~1cm大の表面発赤した粘液付着著明なpolypoid lesionが区域性に多発していた。また,再度確定診断ため肛門側のポリープに対してEMRを施行し,病理組織学的に隆起病変の表面に炎症性浸潤物と炎症性肉芽組織を認め,Cap polyposisの確定診断に至った。今回,我々は,扁平な隆起より頂部に粘液付着を伴うポリープへの形態変化を観察し得たCap polyposisの一例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 |
Cap polyposis, EMR |