セッション情報 一般演題

タイトル 328:

門脈塞栓を契機に発見され生前診断が困難であったびまん浸潤型胆管癌の1例

演者 井手 康史(佐賀県立病院好生館 内科)
共同演者 川添 聖治(佐賀県立病院好生館 内科), 重松 宏尚(佐賀県立病院好生館 内科), 小野原 信吾(佐賀県立病院好生館 内科)
抄録 【はじめに】びまん浸潤型胆管癌のうち,胆道系の拡張がなく黄疸のない症例ではその診断は非常に困難と考えられる.今回我々は門脈塞栓にて発見され,悪性疾患を強く疑うも画像診断および生検・穿刺液検査にて診断にいたらず、剖検にてびまん浸潤型胆管癌と確定診断しえた1例を経験したので報告する.【症例】症例は68歳男性.平成13年10月30日に右側腹部痛が出現し近医を受診。腹部CTで上腸間膜静脈に塞栓を指摘されるも症状は自然軽快したため経過観察されていた.平成14年4月に再度腹痛出現し,CTにて前回指摘された塞栓が門脈に伸展していたため、精査目的に当院紹介入院.採血にて肝胆道系酵素の軽度上昇とCA19-9の著明な上昇を認めた。悪性疾患を疑い原発巣の精査を行うも確定診断に至らなかった。しだいに癌性腹膜炎によると思われる腹水が増量し、腹部膨満感が著明となったため、デンバーシャント造設術をおこなった。一時的に症状改善したが,その後DICを併発し入院後3ヶ月で死亡した.剖検にてびまん浸潤型胆管癌の診断が得られた.腫瘍は肝内胆管に広範囲に認められ,肺・腹膜などに多数の転移を伴なっていた.門脈塞栓は腫瘍塞栓であった.【終わりに】本症例のように胆道系の拡張がなく黄疸のないびまん浸潤型胆管癌症例ではその診断は非常に困難と考えられる.
索引用語 びまん浸潤型胆管癌, 門脈塞栓