セッション情報 一般演題

タイトル 64:

レミケード投与により難治性回腸膀胱瘻が消失したクローン病(CD)の1症例

演者 宮島 一(大分医科大学 第2内科)
共同演者 後藤 加奈子(大分医科大学 第2内科), 真子 絵理(大分医科大学 第2内科), 沖本 忠義(大分医科大学 第2内科), 佐藤 竜吾(大分医科大学 第2内科), 村上 和成(大分医科大学 第2内科), 那須 勝(大分医科大学 第2内科), 唐原 和秀(大分医科大学 第2外科), 菊池 隆一(大分医科大学 第2外科), 内田 雄三(大分医科大学 第2外科)
抄録 レミケードは炎症性サイトカインの1つであるTNFαを抑制する抗ヒトTNFαモノクローナル抗体である。活動性CD患者または排膿を示す外瘻を有するCD患者に対して、その有用性が報告されている。今回、我々は難治性回腸膀胱瘻を伴うクローン病の患者に対し、レミケードの投与を行い、投与開始4週後には小腸膀胱瘻が消失した症例を経験したので報告する。症例は42歳、男性で、主訴は下腹部不快感、気尿である。昭和60年3月に小腸クローン病と診断され、イレウスにて手術された。平成6年3月再びイレウス症状あり、2度目の小腸切除が行われた。その頃より気尿・混濁尿・頻尿等が出現し始め、回腸膀胱瘻と診断された。平成8年3月に再びイレウス症状出現にて回盲部切除術施行され、平成9年3月には直腸皮膚瘻が出現したため、ストーマ造設されている。その後もサブイレウス、腹痛等にて入退院を繰り返していた。平成13年10月頃より、気尿・混濁尿が増悪したため、平成14年8月14日当科に入院となった。入院時には著明な混濁尿が見られ、血液データでCRP 3.15の上昇・血沈の亢進が認められた。小腸造影の結果、回腸膀胱瘻が見られたため、レミケード(5mg/kg)の投与を行った。その後、混濁尿・CRPは徐々に改善し、2週後には混濁尿・CRPは陰性化した。4週後には小腸造影検査で回腸膀胱瘻は消失し、その後炎症所見の出現なく経過している。我々が経験した上記症例ではレミケード投与に伴う副作用の出現は現在のところなく、レミケードはCD患者の難治性内瘻形成に対して有効な治療法と考えられた。
索引用語 レミケード, 回腸膀胱瘻