セッション情報 シンポジウム14(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)

機能性消化管障害の病態と治療

タイトル 消S14-15:

グレリンシグナルの低下がGERDにおける胃排出低下に関与する

演者 武田 宏司(北海道大大学院・薬学研究院臨床病態解析学)
共同演者 武藤 修一(苫小牧市立病院・消化器科), 大西 俊介(北海道大・消化器内科)
抄録 【目的】胃食道逆流症 (GERD) の発症・進展と消化管運動との関連性は、いまだ十分な結論を得られていないが、一部のGERD患者では胃排出が低下し、それが酸逆流に関与することが推察されている。グレリンは、胃で産生される強力な食欲増進ホルモンであり、強力な消化管運動亢進作用を有することが知られている。我々はラットGERDモデルにおいて、上部消化管の運動異常にグレリンシグナルの異常が関与しているかを検討した。【方法】Omura らの方法(Scand J Gastroenterol. 1999)に従い、Wister系ラットにGERDモデルを惹起した。ラットアシルグレリンを静脈内投与し、胃排出および摂餌に対する影響を、shamラットと比較した。胃前庭部の蠕動運動は、strain gauge force transducerを用いて評価した。さらに、血中のグレリン濃度および視床下部の摂食関連遺伝子発現についても検討した。【成績】GERDモデルラットでは、shamラットと比較して胃排出能が有意に低下していた。胃前庭部のmotility indexならびにfrequencyはGERDラットで低下していた。ラットアシルグレリンの静脈内投与は、shamラットの胃前庭部運動および胃排出を有意に亢進させたが、GERDラットではアシルグレリンに対する反応は見られなかった。GERDラットでは、shamラットと比較して血中グレリン濃度および視床下部NPY/ AGRP mRNAの発現が高かった。【結論】GERDモデルラットでは、NPY/AGRPニューロン以降でグレリンシグナルが遮断されている可能性が示唆された。
索引用語 胃食道逆流症, グレリン