セッション情報 一般演題

タイトル 31:

胃悪性グロームス腫瘍の1例

演者 田邊 麗子(原三信病院 外科)
共同演者 北田 秀久(原三信病院 外科), 当間 宏樹(原三信病院 外科), 植木 理夫(原三信病院 外科), 廣田 伊千夫(原三信病院 外科), 江口 徹(原三信病院 外科), 河野 真司(原三信病院 臨床病理部)
抄録 今回我々は胃悪性グロームス腫瘍の症例を経験したので報告する。症例は35歳男性。自覚症状はなかった。平成13年8月に健康診断での胃透視にて異常を指摘された。血液・生化学検査に異常を認めず,CEA,CA19-9,AFP等の腫瘍マーカーも正常範囲内であった。胃透視では胃前庭部大弯側後壁に立ち上がりが急峻でBlidging foldを伴う表面平滑な隆起性病変があり,胃粘膜下腫瘍が疑われた。上部消化管内視鏡検査にて同部に粘膜面に変化のない隆起病変を認め,生検ではGroup1であった。超音波内視鏡では,径4cmの内部不均一な hypoechoic な腫瘤があり,病変は胃壁の第4層に連続していた。腹部CTでは胃の後壁に約4×3cmの腫瘤があり,内腔は壊死と思われる低吸収域を呈していた。腹腔内のリンパ節や肝臓には異常を認めなかった。以上より,GISTと診断し,悪性の可能性も否定できなかった為腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行した。腹腔内に腹水やリンパ節の腫大は認めず,胃周囲のリンパ節及び左胃動脈周囲のリンパ節を郭清した上で腫瘍より約4cm口側にて胃を切除し,自動吻合器による器械吻合を行った。肉眼所見は胃内腔に突出する4cm大の表面平滑な硬い腫瘤で粘膜面は正常であった。漿膜面への浸潤は認めなかった。病理組織所見では,粘膜下層から固有筋層にかけての拡張した血管とその間に蜂巣状の腫瘍細胞の浸潤を認めた。免疫組織学検査ではαSMA,HHF35が陽性であり,CK及びdesminが陰性であった。さらに,5/50HPF以上の多数の核分裂像を認め,胃悪性グロームス腫瘍と診断した。リンパ節には転移を認めなかった。術後良好に経過し,32日目に退院となった。胃悪性グロームス腫瘍は非常にまれな疾患であり,腹腔鏡下に切除した報告は検索する限り初めてと思われる為報告する。
索引用語 悪性グロームス腫瘍, 腹腔鏡下幽門側胃切除術