セッション情報 一般演題

タイトル 120:

HCV肝硬変の患者で下血を繰り返す直腸の単純性ヘルペスアフタの一例の内視鏡像

演者 膳所 富士男(産業医科大学 第一外科)
共同演者 伊藤 英明(産業医科大学 第一外科)
抄録 (はじめに)最近、食道の単純性ヘルペスの内視鏡像の報告に接するが、直腸の単純性ヘルペスの内視鏡像の報告は少ない。肝硬変で止血能が低下し、内痔核上にアフタが生じ繰り返し下血を生じた直腸単純性アフタの内視鏡像を報告する。併せて上部消化管出血の原因となったと推定される食道のヘルペスアフタの内視鏡像も示したい。(症例)75才、女性。(主訴)繰り返す下血。(既往歴)55才時 胆石症手術。この後、慢性肝炎、肝硬変。HCV(+)。食道静脈瘤でEVLを行う。(家族歴)父 HCC、姉 肺結核。(現病歴)慢性肝炎より肝硬変に移行し、食道静脈瘤出現し、EVLを施行している。腹水時々出現。血中NH3 43~131。白血球数 1,400、RBC 280×104 、血小板 29,000と血小板減少し止血能低下。72才時より、下血を繰り返し、内外痔核として坐薬、軟膏で対処してきた。大量の出血時に大腸スコープを挿入すると内痔核上のアフタより出血していた。そこで内痔核のEVLを行い下血が止まって大腸スコープを挿入すると約20個の口腔内のアフタに類似したアフタが直腸の肛門よりに出現していた。大腸には3個の小ポリープの他には出血点はなかった。この時の単純性ヘルペス1型中和抗体250倍、1型補体要求中和抗体720倍、単純性ヘルペス2型中和抗体64倍、2型補体中和抗体1,285倍であった。この患者は、若年時より口腔内アフタを繰り返し、近年は口腔内アフタが頻回に発生し、大出血時には常に口腔アフタが出現していた。内痔核にEVL、外痔核に硬化療法を繰り返し現在は下血を認めない。なお、この間に黒色便と貧血の悪化を伴う上部消化管出血で、食道中部にアフタあり、他に出血点もないことより静脈瘤上に発生したアフタによる上部消化管出血と推定した。(まとめ)直腸内痔核近くにヘルペスアフタが出現し、止血能の低下と併せて下血を繰り返した1例を報告する。
索引用語 直腸アフタ, 単純性ヘルペス