セッション情報 一般演題

タイトル 276:

胆嚢蓄膿症に合併した肝炎症性偽腫瘍の一例

演者 三原 一力(福岡大学筑紫病院 消化器科)
共同演者 戸原 恵二(福岡大学筑紫病院 消化器科), 光安 智子(福岡大学筑紫病院 消化器科), 田中 正彦(福岡大学筑紫病院 消化器科), 植木 敏晴(福岡大学筑紫病院 消化器科), 大谷 圭介(福岡大学筑紫病院 消化器科), 坂口 正剛(福岡大学筑紫病院 消化器科), 八尾 恒良(福岡大学筑紫病院 消化器科), 小野 広幸(福岡大学筑紫病院 放射線科)
抄録 症例は74歳男性.2002年6月30日に発熱,右季肋部痛が出現.7月5日近医にて急性胆嚢炎と診断され当科入院となった.血液検査で炎症所見およびT-bilの上昇を伴う肝障害を認めた.なお,HCV抗体陽性,HCV-PCR陽性であった.入院時のUSでは肝に小さな嚢胞を多数認めたが腫瘍は描出されなかった.胆嚢は3層構造を示す壁肥厚があり,胆泥と結石を認めた.CTでも胆嚢の壁肥厚と結石を認めたが,肝には多発性の嚢胞を認めるのみであった.翌日PTGBDを施行した.穿刺胆汁からはKlebsiella pneumoniaeが同定された. その後胆嚢蓄膿症は改善したが.7月18日USで肝S8に径1.1cmの低エコー腫瘍を認めた.7月22日のLevovivist造影USでは,血管相で腫瘍血管と点状の濃染像を認め,5分後の晩期相では同部が欠損像となったが内部に点状の信号が残った.造影USではHCCを疑った.7月22日のMRIではS8の腫瘤はT1WIで低信号,T2WIで等~高信号に描出された.Dynamic MRIで腫瘍は辺縁から中心に向かい緩徐に造影された.S7にも径1cmの同様の腫瘍があり,MRI上,肝血管腫を疑った.再度USで観察したがS7の腫瘍は描出しえなかった.入院時の単純CTを見直すと腫瘍はS8,S7に低吸収域として描出されており,造影60秒後では造影されず,他の嚢胞と同じ所見であった.肝血管造影ではS7に海綿状の濃染像を認め肝血管腫と診断した.しかしS8には濃染像はなく診断確定のため肝生検を施行した.肝生検で腫瘤には線維性肉芽組織と好酸球を主とした炎症細胞浸潤を認め,炎症性偽腫瘍と診断した.
索引用語 肝炎症性偽腫瘍, 胆嚢蓄膿症