セッション情報 シンポジウム1

タイトル S1-012:

当科における肝細胞癌切除後再発に対する治療

演者 奥平 定之(長崎大学 医学部 大学院 移植消化器外科(第二外科))
共同演者 矢永 勝彦(長崎大学 医学部 大学院 移植消化器外科(第二外科)), 江口 晋(長崎大学 医学部 大学院 移植消化器外科(第二外科)), 杉山 望(長崎大学 医学部 大学院 移植消化器外科(第二外科)), 古井 純一郎(長崎大学 医学部 大学院 移植消化器外科(第二外科)), 兼松 隆之(長崎大学 医学部 大学院 移植消化器外科(第二外科))
抄録 (目的)肝細胞癌切除例で再発危険因子を明らかにすることは再発予防の適切な治療選択を可能にすると考え検討した。また、再発時にミラノクライテリアを用いて肝移植適応の有無について検討した。 (方法)肝細胞癌治癒肝切除123例を対象。85例(69%)再発。1)1年未満再発群(A群;45例)、1年以上経過後再発あるいは無再発群(B群;78例)で再発危険因子を検討。2)再発例でミラノクライテリアを満たす例についての治療法別生存率を検討。(検討項目)1)宿主側;年齢,性,ウイルスマーカー,肝機能,非癌部grading,staging,HPF有無腫瘍側:AFP,分化度,size,fc,fc-inf,vp/im,tw, stage治療側:術式,出血量2)再発形式、再発後治療(検討方法)1)grading,stagingはKnodellのHAIスコア、HPF:肝細胞小過形成巣。2)再発後治療法別生存率(結果)1)A群:危険因子;単変量解析:grading(G0+1/G2+3;p=0.0476), staging(F0+1+2 /3+4;p=0.0271),AFP(>100ng/ml;p=0.0445)。多変量解析:AFPが独立した有意な因子(危険率;2.779, 95%信頼区間;1.046-7.600)。B群:危険因子;単変量解析:HPF(+)(p=0.0045) 2)ミラノクライテリアを満たす症例は21例(24%)で6例に再手術、15例にTAEが選択されていた。尚、TAE選択15例中11例が肝障害度BまたはCであった。再発後1/3/5年累積生存率は、手術82%/82%/61%,TAE93%/65%/33%と再手術例で良好な傾向であった。(まとめ)1)高AFP値・高grading・高staging例は、術直後から抗腫瘍療法・抗肝炎療法が必要、HPF(+)例は1年以降に再発することが多く抗肝炎療法と厳重な経過観察が必要。2)肝切後再発時にミラノクライテリア合致例で肝機能不良例が現時点では肝移植の適応になると考えられた。
索引用語 肝細胞癌, 治療方法