セッション情報 一般演題

タイトル 78:

内視鏡的に術前確定診断し得た空腸癌の1例

演者 福元 仁(原三信病院 消化器科)
共同演者 酒井 健二(原三信病院 消化器科), 河邊 毅(原三信病院 消化器科), 金山 兼司(原三信病院 消化器科), 西島 慎二(原三信病院 消化器科), 蓑田 俊二(原三信病院 消化器科), 当間 宏樹(原三信病院 外科), 河野 眞司(原三信病院 病理部)
抄録 症例は54歳男性。既往歴は39歳時左腎結石で左腎摘出術、44歳時大腸癌で拡大結腸右半切除術、47歳時十二指腸潰瘍、49歳時大腸ポリープ(大腸腺腫)。現病歴は平成13年11月頃より腹部膨満感、嘔吐、腹痛が出現。12月外来で腹部エコーとCTを施行するも、その時点では腸管の閉塞を来す所見は認めず、排ガスと排便がある為経過観察とした。平成14年1月に腹部症状憎悪し、精査加療目的で当科入院となった。
 入院時の腹部単純X線でニボーは認めなかったが、腹部エコーで小腸内容物とキーボードサイン陽性でイレウスと診断した。イレウスチューブを挿入し腸管の減圧を計った。1月18日腹部CTで十二指腸から近位空腸にかけ著明な拡張と閉塞部の小腸内に突出する軟部組織所見を認めた。腫瘍性閉塞を疑い1月23日イレウスチューブ先端からガストログラフィンを使用し小腸透視を施行し、Treitz靭帯より約50cm部位に表面不整で結節状凸凹を呈し、overhanging様所見を伴った腫瘍性閉塞を認め、上皮性小腸悪性腫瘍が考えられた。1月25日にイレウスチューブを留置したまま小腸内視鏡を施行し、容易に閉塞部位に到達し全周性腫瘤による狭窄を認めた。表面は発赤、びらん、不整粘膜を呈しており、生検病理組織検査にてmoderately differentiated adenocarcinomaの確定診断をし得た。外科転科後2月8日に開腹腫瘍摘出術を施行した。病理組織診断は空腸癌、2型の中分化腺癌、深達度はseであった。リンパ節転移は認めなかった。
 小腸腫瘍は全消化管悪性腫瘍の1%に満たない稀な疾患である。内視鏡の進歩した現在でも小腸腫瘍の術前確定診断は未だ困難なことが多い。今回我々はイレウスチューブを留置したまま、これをガイドに内視鏡を挿入することによって小腸腸管短縮が可能になり、小腸内視鏡で術前診断が可能になった空腸癌の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 術前確定診断, 空腸癌