セッション情報 |
パネルディスカッション8(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)
NSAIDs腸病変の新たな展開
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タイトル |
消PD8-1:NSAIDsの下部消化管出血への関与に関する症例対照研究
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演者 |
渡邊 聡(佐賀大・消化器内科) |
共同演者 |
岩切 龍一(佐賀大・消化器内科), 藤本 一眞(佐賀大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】人口の高齢化に伴い非ステロイド消炎鎮痛薬(NSAIDs)の使用頻度は増加している。NSAIDsの上部消化管障害への関与はよく知られているが、下部消化管出血の原因にもなりうると考えられており、中でも虚血性腸炎や大腸憩室出血との関与が示唆されている。今回我々は、虚血性腸炎および大腸憩室出血の患者を対象に、NSAIDs内服及び種々の患者背景の関与について検討した。【方法】2000年1月から2011年2月迄に入院加療を要した、虚血性腸炎および大腸憩室出血の患者128名(男:女 49:47)を対象として、NSAIDsおよび抗血栓剤の内服歴および基礎疾患(脳血管障害、虚血性心疾患、高血圧症、高脂血症、高尿酸血症、糖尿病、腎疾患、骨粗鬆症)、入院期間、喫煙、飲酒、排便習慣等の関与について、性別および年齢を一致させた患者256名を対照として検討した。【結果】65歳未満の虚血性腸炎の患者においては、便秘症(オッズ比3.989、95%信頼区間1.294-12.296、p=0.0160)が危険因子となっていたが、NSAIDs・抗血栓剤内服とは関連を認めなかった。大腸憩室出血においては、NSAIDs内服(オッズ比3.614、95%信頼区間1.429-9.138、p=0.0066)および虚血性心疾患(オッズ比1.990、95%信頼区間1.043-3.799、p=0.0369)、高脂血症(オッズ比2.239、95%信頼区間1.140-4.399、p=0.0193)が有意な危険因子として挙げられた。また65歳以上の高齢者と65歳未満の若年者に分け、危険因子をそれぞれ検討すると、高齢者においてはNSAIDs内服および虚血性心疾患が危険因子となったが、若年者においては高脂血症および高血圧症が危険因子となり、年齢によりその危険因子は異なっていた。また大腸憩室出血の患者において、便秘症(オッズ比3.909、95%信頼区間1.254‐12.185、p=0.0187)が入院中再出血の危険因子となっていた。【結論】今回の検討において、虚血性腸炎とNSAIDsに関与は指摘できなかったが、大腸憩室出血ではNSAIDs内服の関与が強く、特に高齢者においてその関与が強いことが明らかとなった。 |
索引用語 |
NSAIDs, 大腸憩室出血 |