セッション情報 |
パネルディスカッション8(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)
NSAIDs腸病変の新たな展開
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タイトル |
消PD8-4:Collagenous colitis症例におけるNSAIDの関与についての検討
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演者 |
山崎 健路(中濃厚生病院・消化器科) |
共同演者 |
堀田 欣一(佐久総合病院・胃腸科), 清水 誠治(JR大阪鉄道病院・消化器内科) |
抄録 |
【背景】Collagenous colitis(CC)は原因が未だ不明な疾患である。本邦ではproton pump inhibitor(PPI)に関連したCC症例が多いとされるが、欧米においてはPPIの他にもnon-steroidal antiinflammatory drug(NSAID)がCCの発症との関連から注目されている。【対象】当院、佐久総合病院胃腸科、JR大阪鉄道病院消化器内科において大腸内視鏡検査にて診断されたCC症例54例についてNSAIDs、PPIの服薬状況、臨床的特徴について以下の群に分けて検討を行った。【結果】平均年齢67歳。男女比は21対33。A群:NSAID単独例5例(9.3%)、B群:PPI単独例17例(31.5%)、C群:PPIとNSAIDの併用例25例(46.3%)、D群:NSAID、PPI非服用例7例(13.0%)。PPIを服用していたCC症例(B群+C群)42例中25例(59.5%)にNSAIDの併用が認められた。Low-dose aspirin服用例がA群で2例(40.0%)、C群で13例(52.0%)と比較的多く認められた。MeloxicamとLansoprazole(LPZ)を併用している症例がC群中5例(20.0%)認められた。縦走潰瘍はB群で6例(35.3%)、C群で5例(20.0%)に認められ、全例LPZを服用していたが、A群でも1例に認められた。B群ではPPIを中止するのみで症状が改善する例が多いが、A群、C群では、NSAID中止後も下痢症状が遷延している症例が散見された。【考察】本邦でのCC症例はPPIに起因するものが多いと思われるが、PPIを服用していたCC症例の59.5%にNSAIDの併用が認められ、本邦におけるCCの発症とNSAIDの関与については更に多数例での検討が必要と思われた。MeloxicamとLPZを併用している症例がC群中5例(20.0%)認められたが、Meloxicamは薬物代謝酵素CYP3A4で代謝されるNSAIDであり、LPZとの併用の際には相互作用に注意する必要がある薬剤と思われた。【結語】本邦ではPPIに起因するCC症例が多いと思われるが、NSAIDの影響についてはPPIとの相互作用を含め、更なる症例の集積が必要であると考えられた。 |
索引用語 |
collagenous colitis, NSAID |