セッション情報 シンポジウム15(消化器外科学会・消化器病学会合同)

下部直腸癌側方リンパ節転移に対する診断と治療方針

タイトル 外S15-1:

下部直腸癌側方リンパ節郭清に対するMRIを利用した診断と治療方針

演者 衣笠 哲史(久留米大・外科)
共同演者 赤木 由人(久留米大・外科), 白水 和雄(久留米大・外科)
抄録 (背景)下部直腸癌に対する側方リンパ節郭清の治療方針は、未だ統一されたものはなく各施設で判断されているのが現状である。当科では予防的郭清でなくテーラーメード型の側方リンパ節郭清を行っており、MRI検査を含めた術前の画像診断結果をふまえ、その適応を決定している。今回、術前MRI診断結果の有用性を検討した。(対象と方法)2009年1月から2012年1月までに下部直腸癌(Rb)の診断で手術を施行され、術前MRI検査も施行された71例を対象とした。MRI検査は1.5Tまたは3T(テスラ)の機種を使用した。(結果)症例の平均年齢は64.1±11.1歳、男女比は48例:23例であった。全例直腸病変はMRIで確認できた。MRI検査で側方リンパ節転移が疑われたのは19症例(26.7%)であり、それらの症例の中で実際に側方郭清を行ったのは12例であった。そのうち7例(9.86%)に病理組織学的検査にて側方リンパ節転移を認めた。これらの結果から、MRI検査の感度:100%、特異度:81.25%、陽性適中度:36.8%、陰性適中度:100%、検査効率:83.1%であると思われた。腹部CT検査でも同様な結果を認めたが、側方リンパ節転移症例中1症例で転移の疑いを指摘できなかった。(結語)今回の検討から、MRI検査所見は側方リンパ節郭清の適応を決める一つの指針になり得ると考えられた。また、MRI検査などで転移が疑われる症例では術中に転移の有無などの検索をより慎重に行うことにつながり、テーラーメイド型の郭清を後押しすると考えられた。今後、現在の画像診断方法に加え、新たな診断方法を模索していくことも肝要であると思われた。
索引用語 下部直腸癌, 側方リンパ節郭清