セッション情報 パネルディスカッション8(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

NSAIDs腸病変の新たな展開

タイトル 内PD8-8:

非ステロイド系抗炎症薬および低用量アスピリン長期服用者における小腸傷害発生部位の検討

演者 谷川 徹也(大阪市立大・消化器内科)
共同演者 灘谷 祐二(大阪市立大・消化器内科), 渡辺 俊雄(大阪市立大・消化器内科)
抄録 【背景と目的】非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)および低用量アスピリン(LDA)は小腸粘膜傷害を誘発するが、その病態の詳細については不明な点が多く、病変好発部位については未だ一定の見解が得られていない。本研究ではNSAIDsおよびLDA長期服用患者における小腸粘膜傷害の発生部位を解析し、薬剤による差異について検討した。【方法】NSAID長期服用関節リウマチ患者およびLDA長期服用虚血性心疾患あるいは脳血管障害患者に対して同意取得の上カプセル小腸内視鏡検査を施行した。粘膜欠損(びらん・潰瘍)が確認された症例について病変の存在部位を検討した。LDAおよびNSAIDsの種類(LDA服用症例: 17例, シクロオキシゲナーゼ(COX)非選択的阻害薬服用症例:20例、COX-2優位/選択的阻害薬服用症例:9例)それぞれにおける病変部位の解析を行った。病変部位は全小腸通過時間に対する十二指腸から病変部位までの到達時間として計測し全小腸通過時間との比(%)とした。【結果】病変を有する症例において、病変の平均個数はLDA服用症例で6.0個/例、COX非選択的阻害薬服用症例で9.3個/例、COX-2選択的阻害薬(セレコキシブ、エトドラク)服用症例で6.1個/例であった。小腸を3領域(上部・中部・下部)に分けて病変存在部位を検討したところ、 COX非選択的阻害薬服用症例で36.6:36.0:27.4 (%)、COX-2優位/選択的阻害薬服用症例で53.1:14.3:32.7 (%)、LDA服用症例で36.6:25.8:37.6 (%)であり病変存在部位に一定の傾向を認めなかった。【結論】NSAIDsおよびLDA長期服用者におけるLDA/NSAIDs起因性小腸病変については明らかな病変好発部位を認めなかった。
索引用語 NSAIDs, 低用量アスピリン