セッション情報 パネルディスカッション8(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

NSAIDs腸病変の新たな展開

タイトル 消PD8-9:

低用量アスピリン服用症例における消化管イベントリスクの検討

演者 半田 修(京都府立医大大学院・消化器内科学)
共同演者 福居 顕文(京都府立医大大学院・消化器内科学), 内藤 裕二(京都府立医大大学院・消化器内科学)
抄録 【背景】これまでの低用量アスピリン消化管粘膜傷害の報告は、吐血・下血をきっかけに内視鏡を施行した患者を対象としたものが多く、低用量アスピリン服用患者全体の状況を反映したデータとは考え難い。【目的】内視鏡以外の評価方法で低用量アスピリン長期投与患者の消化管粘膜傷害発症因子が予測可能か調査する事を目的とした【対象・方法】電子カルテの患者医療情報により、2008年4月1日から2009年12月31日の期間に、京都府立医科大学循環器内科を受診した入院および外来患者のうち、1ヶ月以上低用量アスピリンを投与された患者1021例を対象とし、患者背景、消化器関連イベント(出血、出血性胃炎、消化管穿孔、胃潰瘍、胃潰瘍性病変、胃びらん、びらん性胃炎、十二指腸潰瘍、十二指腸びらん、小腸潰瘍、逆流性食道炎を内視鏡的に確認)及び併用薬剤処方・臨床検査値情報を抽出し検討した。【結果】低用量アスピリン使用全患者のなかで内視鏡を実施したのは142人、そのうち48例で内視鏡確認イベントがあった。内視鏡非実施患者は790人であった。患者背景として、性別、年齢、BMI、飲酒は1を越えるハザード比を示したが、有意差は無かった。喫煙、骨関節症に関しては有意差を認めた(喫煙ハザード比2.3、骨関節症ハザード比4.3)。服薬内容に関しては低用量アスピリン服用患者全体では抗潰瘍薬未使用が36%であったが、内視鏡施行患者では約20%を占めていた。また、抗潰瘍薬が使用されても、約3割に消化管病変がみられた。【結論】電子カルテの患者医療情報は、消化器関連イベントに影響する因子を予想する上で、有用なデータソースの可能性であることが示唆される。
索引用語 アスピリン, 電子カルテ