セッション情報 |
パネルディスカッション8(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)
NSAIDs腸病変の新たな展開
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タイトル |
内PD8-12:NSAIDsによる小腸粘膜障害
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演者 |
磯村 好洋(東京大・消化器内科) |
共同演者 |
山地 裕(東京大・消化器内科), 山田 篤生(東京大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】非ステロイド系消炎鎮痛薬NSAIDsは、変形性関節症や慢性腰痛症などの整形外科的疾患や癌性疼痛などにおいては長期にわたり継続的に使用され、社会の高齢化とともに今後その使用頻度はさらに高まると考えられる。NSAIDsによる消化管粘膜障害は胃粘膜だけでなく、小腸や大腸までの全消化管領域において引き起こされることが報告されている。今回、NSAIDs常用者における小腸粘膜傷害の頻度・種類をカプセル内視鏡を用いて評価した。【方法】NSAIDs(COX2選択的阻害剤を除く)を4週間以上内服継続中の症例を対象とした。2種類以上のNSAIDs併用、低用量アスピリン、プロスタグランジン製剤、ステロイド剤、抗血小板薬、抗凝固薬、抗がん剤を使用中の患者は除外した。プロトンポンプ阻害剤やH2受容体拮抗剤などの制酸剤、レバミピドやテプレノンなどの防除因子増強薬を使用中の患者は対象に含めた。【成績】35~80歳までの計45例のNSAIDs常用者に対しカプセル内視鏡を施行した。全小腸観察例は39例(86.7%)であった。27例(60.0%)において小腸粘膜傷害を認め、有病者の平均病変数は5.1個と多発傾向を認めた。びらん/潰瘍病変に限ると15例(33.3%)において病変を認め、平均病変数は3.1個であった。胃薬併用者33例 (プロトンポンプ阻害剤8例、H2受容体拮抗薬2例、レバミピド18例、テプレノン7例、併用3例)のびらん/潰瘍病変の有病率は33.3%(11/33)であったのに対し、胃薬非併用者の有病率も33.3%(4/12)と同率であった。またNSAIDsの1日あたりの服用回数が1回ではびらん/潰瘍の平均病変数は0.25個、2回では0.39個、3回では2.1個と、服用回数が多いほど病変数が多い傾向がみられた(p=0.08)。【結論】NSAIDsにより高率に小腸粘膜傷害が惹起される。NSAIDsの中止できない症例は今後ますます増加すると考えられ、その予防と治療法、高危険群の特定が検討課題である。 |
索引用語 |
NSAIDs, 小腸病変 |