セッション情報 |
パネルディスカッション8(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)
NSAIDs腸病変の新たな展開
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タイトル |
消PD8-13:NSAIDs起因性小腸傷害発生のメカニズムとその予防法
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演者 |
依田 有紀子(大阪医大・2内科) |
共同演者 |
梅垣 英次(大阪医大・2内科), 樋口 和秀(大阪医大・2内科) |
抄録 |
【目的】インドメタシン(IM)などの非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)は、胃のみならず小腸においても粘膜傷害を惹起することが知られているが、その病態や障害に対する治療法・予防法については未だ明らかでない点が多い。そこで、現存する消化性潰瘍治療薬がラットのNSAIDs起因性小腸傷害を抑制できるか否かを検討し、そのメカニズムについて考察した。さらにボランティアを対象としたNSAIDs小腸傷害に対する消化性潰瘍治療薬の臨床効果について検討した。【方法】SD系雄性ラットにIM(10mg/kg)を経口投与し、小腸粘膜に発生した損傷を評価した。投与薬剤は、PPIとしてランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾールを、H2受容体拮抗薬はシメチジン、ファモチジン、ラフチジン、ロキサチジン、防御因子増強薬はレバミピド、テプレノン、イルソグラジン、プロスタグランジン製剤はミソプロストールを投与した。さらに基礎研究にて有効性が証明された薬剤に関してボランティアを対象とした臨床研究を行った。【結果】(1)ラットにIMを投与することにより小腸全域に潰瘍性病変が発生し、同時にiNOS、MPO活性、粘膜内腸内細菌数が上昇した。 (2)ランソプラゾール、ラベプラゾール、ラフチジン、ロキサチジン、ミソプロストール、レバミピド、テプレノン、イルソグラジンはIMによる小腸病変を抑制した。 (3)防御因子増強薬は、小腸粘膜粘液分泌亢進作用や抗炎症作用が小腸粘膜傷害抑制に一部関与すると推察された。 (4)ランソプラゾールには粘液亢進作用はなく、HO-1増加作用や抗炎症作用が小腸傷害発生抑制に関与すると推察された。 (5)NSAIDsによる食道・胃・小腸傷害を抑制する幾つかの防御因子増強薬が存在し、現在他の治療薬の臨床効果についても検討中である。【結論】酸の関与が考えられないIM起因性小腸傷害を抑制する消化性潰瘍治療薬が存在し、それぞれの薬剤の効果発現メカニズムは異なる可能性が動物実験より示唆された。またヒトを対象とした臨床試験より小腸傷害を抑制できる薬剤が明らかになりつつある。 |
索引用語 |
NSAIDs, 小腸 |