セッション情報 |
パネルディスカッション9(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)
膵管癌の危険因子と早期診断
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タイトル |
消PD9-2:膵癌と関連する2型糖尿病の特徴
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演者 |
江川 直人(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科) |
共同演者 |
宅間 健介(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科), 神澤 輝実(がん・感染症センター都立駒込病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】2型糖尿病は、heterogeneousな疾患であり、この中に真に膵癌発生と関連するサブグループが存在する可能性がある。この点を明らかにすることを目的とした。【方法】1975年から2009年の35年間に当院で診断された膵管由来の癌1025例(男性592例、女性433例)を対象とした。膵癌診断の3年以上前から糖尿病のある例を真の糖尿病先行例と定義し、糖尿病先行群(I群:120例)と糖尿病非先行群(II群:905例)との間で、性別、年齢、喫煙歴、ABO血液型、膵癌の部位、糖尿病家族歴(第一度近親者)の有無などついて比較した。【成績】I群は、II群よりも男性が多く(70.8% vs. 56.0% : p=0.002)、70歳以上の頻度が高く(52.5% vs. 40.2% : p=0.013)、糖尿病家族歴の頻度が高かった(45.6% vs. 14.7% : p=0.000)。喫煙歴、癌の部位では差は認められなかった。また各血液型の頻度(%)に違いがあり、A、O、B、ABの順にI群では32.1、33.9、27.5、6.4、II群では43.8、23.7、21.7、10.8であり、有意差を認めた(p=0.016)。I群はO型が多く、A型が少なかったが、特に、I群の糖尿病先行年数が5年以下の例(N=29)では、O型が44.8%を占め、A型は17.2%であった。一方、先行年数が長くなると、B型の頻度が漸増し、15年以上の例(N=35)では、40.0%に達し、II群との間に有意差が認められた(p=0.016)。なお、2004年から2007年に2型糖尿病で入院し、2010年12月時点で膵癌の発症なく血液型の明らかな319例では、A型40.1%、O型28.2%、B型21.6%、AB型10.0%で、日本人の一般集団とほぼ一致した。以上から、性別、年齢、糖尿病家族歴、血液型を独立変数として、ロジスティック回帰分析を行うと、糖尿病先行膵癌は、男性(調整Odds比 3.11、95%信頼区間 1.65-5.87)、70歳以上(2.04、1.12-3.69)、糖尿病家族歴(5.70、3.12-10.43)、血液型A型と比較してB型(2.96、1.41-6.21)とO型(2.18、1.09-4.37)がリスク要因であった。【結論】2型糖尿病の中には、膵癌発症と関連するサブグループがあることが示唆された。 |
索引用語 |
膵癌, 2型糖尿病 |