セッション情報 |
パネルディスカッション9(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)
膵管癌の危険因子と早期診断
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タイトル |
消PD9-4:メタボリック症候群からみた膵癌の危険因子の検討
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演者 |
細野 邦広(横浜市立大附属病院・内視鏡センター) |
共同演者 |
窪田 賢輔(横浜市立大附属病院・内視鏡センター), 中島 淳(横浜市立大附属病院・内視鏡センター) |
抄録 |
【目的】近年メタボリック症候群と消化器疾患の関連が注目されているが、膵癌についてはその詳細の検討は未だ途上にある。膵癌の危険因子として、家族歴、糖尿病、肥満、慢性膵炎などが挙げられているが今回、内臓脂肪や糖尿病などのメタボリック症候群関連因子に注目し、膵癌の危険因子を検討した。【方法】2006年4月から2011年3月の間に当院において膵癌と診断された149名(男性84名、女性65名)を対象に、患者背景として性別、年齢、BMI、喫煙歴、飲酒歴、膵癌家族歴、既往歴(糖尿病、高血圧、高脂血症など)、空腹時血糖、HbA1c、中性脂肪を検討し、CT、USなどの画像検査により脂肪肝、膵小嚢胞、bright pancreasの有無、またfat scanを用いて内臓脂肪面積、皮下脂肪面積について解析した。なお年齢性別を一致させた非膵疾患患者547名(男性312名、女性235名)をコントロールとして膵癌の危険因子を比較検討した(t検定)。【成績】性別に両群を比較すると男性では、喫煙歴、糖尿病、空腹時血糖、HbA1c、BMIが膵癌群で有意に高かった(P<0.05)。女性では家族歴、糖尿病、空腹時血糖、HbA1cに加え、膵小嚢胞、脂肪肝の併発が有意に高く(P<0.05)、肥満関連ではBMI、皮下脂肪面積は有意差を認めなかったが、内臓脂肪面積が有意に高値であった(平均値:膵癌104.5 cm2、コントロール60.2 cm2、P<0.05 )。【結論】膵癌の危険因子として糖尿病は男女共通の危険因子であったが、他の因子については男女で異なる結果であり、男性ではBMI高値が女性では内臓脂肪蓄積が危険因子と考えられた。膵癌の早期診断は喫緊の課題であり、多危険因子群を対象にした有効な検診が求められている。近年メタボリック症候群患者は確実に増加しており、膵癌との関わりについても更なる検討が必要である。 |
索引用語 |
膵癌, メタボリック症候群 |