セッション情報 |
パネルディスカッション9(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)
膵管癌の危険因子と早期診断
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タイトル |
消PD9-6:膵管癌の危険因子としての分枝型IPMNの経過観察法
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演者 |
萬代 晃一朗(京都第二赤十字病院・消化器科) |
共同演者 |
宇野 耕治(京都第二赤十字病院・消化器科), 安田 健治朗(京都第二赤十字病院・消化器科) |
抄録 |
(背景)膵癌診療ガイドラインでは、膵癌の危険因子として、家族歴、糖尿病、肥満、慢性膵炎、喫煙、IPMNが挙げられている。当院では、分枝型IPMN切除例の検討から、結節高≧11mmまたは膵液細胞診陽性であればIPMCと診断して手術を行い、それ以外のものについては積極的に経過観察を行っている。(対象と目的)対象は、当院における分枝型IPMNの経過観察例230例で、平均観察期間は4.87年であった。内訳は男性110例、女性120例で、平均年齢73.0歳であった。経過観察中に膵管癌を合併した症例について検討し、膵管癌早期診断のための分枝型IPMNの経過観察法について考察した。(結果)膵管癌は5例(2.17%)に出現し、うち3例は手術で確定し、2例は非切除で、病変部位からIPMCではなく膵管癌と考えた。5例の内訳は男性3例、女性2例で平均年齢72.0歳、平均観察期間7.3年、平均嚢胞径18.8mm、平均主膵管径2.76mmであり、全例で壁在結節を認めなかった。IPMN以外の膵癌危険因子を有するものは5例中3例であった。膵管癌診断前の最終検査は腹部US:3例(3ヵ月前:1例,5ヵ月前:1例,12ヵ月前:1例)、EUS:1例(8ヵ月前)、造影CT:1例(5ヵ月前)であった。膵管癌診断時の検査は腹部US:1例、EUS:1例、造影CT:2例、ERCP膵液細胞診:1例(腫瘤不明瞭)であった。(結語)IPMN/MCN国際診療ガイドラインによると、分枝型IPMNの経過観察法は主に嚢胞径により分類されている。しかし、分枝型IPMNは膵管癌合併の危険因子であることから、たとえ嚢胞径が小さくても、より頻回の画像検査が必要と考えられた。その際、USのみでは被検者側の要因によって膵全体の観察が不十分となる可能性があるため、CTやEUS,ERCPの併用が望ましいと考えられた。また、経過観察期間が長期間のものや、IPMN以外の膵癌危険因子も有するものは、特に注意する必要性が示唆された。 |
索引用語 |
膵管癌, 分枝型IPMN |