セッション情報 パネルディスカッション9(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)

膵管癌の危険因子と早期診断

タイトル 内PD9-10:

膵上皮内癌の拾い上げにおける画像診断の手がかり-EUSおよびMRCPの所見を中心に-

演者 花田 敬士(尾道総合病院・内視鏡センター)
共同演者 飯星 知博(尾道総合病院・内視鏡センター), 福田 敏勝(尾道総合病院・消化器外科)
抄録 『緒言』尾道市医師会では、平成17年から『早期膵癌診断プロジェクト』を発足し、膵癌早期診断を目指した取り組みを展開している。今回その拾い上げにおける画像診断の手がかりについて、EUSおよびMRCPを中心に検討した。『方法』2007年11月から2010年10月までに、膵癌危険因子、腹部USによる小型の膵嚢胞または膵管描出、血清膵酵素の上昇、腹部症状等から膵癌を疑われ当院を受診した患者は1528例で、うち連携施設からの紹介は1020例であった。腹部CTを980例、MRCPを860例、EUSを734例に施行し、膵管拡張、限局的な膵管狭窄、分枝膵管の拡張、膵管拡張の頭側に低エコ-領域のいずれかを認める症例をERCPの適応とし、同意を得られた400例に施行した。このうち限局的な膵管狭窄、および分枝拡張がみられた26例にENPDを併用した複数回の膵液細胞診を施行した。『結果』ENPD併用膵液細胞診により8例を膵上皮内癌と術前診断可能であった。年齢は61歳から84歳。男女それぞれ4例。頭部2例、体部5例、尾部1例。急性膵炎を先行した症例を2例に認めた。癌の分布は6例が膵管狭窄にほぼ一致していたが、2例は狭窄とやや離れた分枝膵管に存在した。全例腫瘍の直接描出は困難であった。MRCPおよびERPでは全例限局的な膵管狭窄を、EUSでは膵管狭窄の周囲または頭側に限局的な小低エコ-領域を高頻度に認めた。病理組織では膵管狭窄の周囲に限局的な線維化、膵炎の所見がみられ、これがEUSで低エコ-領域として認識された可能性が示唆された。『結語』膵上皮内癌の拾い上げには、非侵襲的検査であるMRCPでの限局的膵管狭窄、EUSでの膵管狭窄周囲または頭側の小低エコ-領域に着目すべきである。また、膵癌早期発見のためには腹部CTではなく、MRCP、EUSをアルゴリズムの上位に位置づけることが望ましい。
索引用語 膵上皮内癌, 画像診断