セッション情報 パネルディスカッション9(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)

膵管癌の危険因子と早期診断

タイトル 内PD9-11追1:

小膵癌の臨床病理学的検討と早期診断戦略

演者 長川 達哉(札幌厚生病院・2消化器科(胆膵科))
共同演者 岡田 邦明(札幌厚生病院・外科), 村岡 俊二(札幌厚生病院・臨床病理科)
抄録 【目的】膵癌の早期診断戦略を構築にするために,比較的早期に発見された膵癌像と考えられるpTS1症例ならびに上皮内癌に注目し,その臨床病理学的背景を検討した。【対象】当科にて精査後,切除されたpTS1膵癌18例,上皮内癌5例,計23例【方法】対象症例の臨床像ならびに切除標本の病理組織学所見をretrospectiveに検討した。【検討項目】1)臨床像(年齢,性別,初発症状,発見契機,生化学的所見),2)病理組織学的検討(占拠部位,最大径,局所進展度,進行度,主膵管進展,上皮内病変の合併)【結果】1) pTS1膵癌の平均年齢は69.1歳,男女比は11:7,初発症状は腹痛17%,黄疸11%,症状なし83%,発見契機は検診44%,耐糖能悪化22%,腫瘍マーカー上昇17%(画像診断別ではCT62%,US32%,MRCP6%),生化学的所見では血清膵酵素上昇を39%,腫瘍マーカー上昇を56%に認めた。上皮内癌では平均年齢69.4歳,男女比は3:2,初発症状は腹痛40%,症状なし60%,発見契機は検診40%,外来受診40%,血清膵酵素上昇20%(画像診断別ではCT40%,US40%,MRCP20%),生化学的所見では血清膵酵素上昇と腫瘍マーカー上昇を其々20%に認めた。2)pTS1膵管癌の占拠部位は頭部4,体尾部14,最大径は9~20mmに分布し,局所進展度はpT1 7,pT3 7,pT4 4,進行度(pStage)はI 6,II 1,III 5,IVa 3,IVb 2であった。主膵管進展は56%(10例),CISやAHなどの上皮内病変の合併は39%(7例)に認められた。上皮内癌の占拠部位は頭部2,体尾部3,膵管内進展範囲は20~60mmに分布しており,4例では周囲にAH,2例では粘液上皮過形成を合併していた。【結語】pTS1膵癌(無症状例)では検診や耐糖能悪化が発見契機となっており,積極的なUS,CT等の画像screeningや糖尿病患者の血糖値管理が早期発見に必要と考えられ,血清膵酵素や腫瘍マーカーの測定はその陽性率からは補完的と考えられた.また,上皮内癌では膵炎の合併が発見契機となる場合があり,局所的な膵管系の狭窄,拡張所見を見逃さないよう詳細な画像診断が必要と考えられた。
索引用語 膵癌, 早期診断