セッション情報 |
パネルディスカッション9(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)
膵管癌の危険因子と早期診断
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タイトル |
消PD9-14追2:当科における膵癌早期発見,診断のストラテジー
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演者 |
石井 健太郎(東京医大・消化器内科) |
共同演者 |
祖父尼 淳(東京医大・消化器内科), 糸井 隆夫(東京医大・消化器内科) |
抄録 |
【背景】膵癌に対する早期診断は,いまだ効率的な診断体系が定まっておらず、早期発見・診断に関しては満足しうる成績が得られているとは言い難い. 【目的】当科で経験した膵癌115例の検討により,膵癌早期発見,診断のための当科におけるストラテジーを検討する.【方法】対象は当科で経験した膵管癌115例で,そのうちTS1膵癌20例(T1膵癌8例),TS2以上の膵癌95例を比較し,各種画像検査,血清学的検査,発見の契機等についてretrospectiveに検討した.【結果】膵癌115例のうち76%の症例はStageIVであった.術前にTS1膵癌と診断したのは20例(17%)で,Stage分類では,StageI:6例,StageII:1例,StageIII:9例,StageIVa:1例,StageIVb:3例であった.そのうち膵内に限局するT1膵癌症例は8例(7%)のみであった.発見の契機となった症状/所見は,TS1症例では,黄疸,膵管拡張が4割に見られ,腹痛,CA19-9高値,膵嚢胞なども注意すべき発見の契機であったが,T1症例では,主膵管拡張が8例,背部圧迫感3例,アミラーゼ上昇2例で主膵管拡張が重要な所見であった.リスクファクターでは,糖尿病2例,慢性膵炎2例に見られた.B-mode US,CTでは腫瘤の描出が困難な例が多く,CTでの描出率は37.5%,B-mode USでの描出率は62.5%にとどまった.一方EUSでは100%,造影USでは88%の描出率であった.また超音波造影剤Sonazoidを用いたCE-USでは,これまで以上に質的診断に威力を発揮した.腫瘍マーカーでは,TS1症例で各種マーカーを組合わせると91.7%まで上昇した.【結論】B-mode US,CTによる膵管拡張,膵嚢胞などの間接所見や腹部症状,喫煙,糖尿病,慢性膵炎,家族内発生等のリスクファクター保有者では,膵癌を念頭に置き,EUSやCE-US,2種以上の腫瘍マーカー,膵酵素測定を積極的におこなうことが膵癌早期発見・診断に肝要であることが示唆された. |
索引用語 |
膵癌, 早期診断 |