セッション情報 パネルディスカッション10(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

消化器疾患における分子標的治療

タイトル 消PD10-9:

炎症性腸疾患患者における抗インフリキシマブ抗体の出現と治療効果・アダリムマブへの変更について

演者 今枝 広丞(滋賀医大・消化器内科)
共同演者 安藤 朗(滋賀医大大学院・感染応答・免疫調節部門(消化器免疫)), 藤山 佳秀(滋賀医大・消化器内科)
抄録 【背景】抗TNF-α抗体であるインフリキシマブおよびアダリムマブは、炎症性腸疾患を劇的に改善することに成功したが、一方で特に長期投与患者において2次無効となる症例が一定の割合で存在する。2次無効の最も大きな原因として、近年、抗インフリキシマブ抗体が注目されるようになった。現在、インフリキシマブが2次無効となった場合、アダリムマブへの変更を考慮するのが一般的であるとされているが、インフリキシマブの増量が承認されるにあたって、2次無効例においては「アダリムマブへの変更」がよいのか「インフリキシマブの増量」がよいのか、検討を行った。従来、抗インフリキシマブ抗体をそくていするにあたって、インフリキシマブで飽和されてしまっていたことが問題であったが、新規測定法を開発し中等度陽性例を検出することが可能となった。【目的】インフリキシマブ2次無効となった症例において抗インフリキシマブ抗体の出現頻度を明らかとし、その有無によって、治療変更の選択の基準とすることを目的とした。【方法】インフリキシマブの投与を行った炎症性腸疾患68症例における抗インフリキシマブ抗体の出現率をDirect ELISA変法にて測定した。インフリキシマブ2次無効となった症例において、インフリキシマブ増量を行った症例とアダリムマブへの変更を行った症例において、後ろ向きに治療効果の検討を行った。【結果】インフリキシマブ2次無効となった症例のうち、抗インフリキシマブ抗体陽性である症例はアダリムマブへの変更により改善を得た。抗インフリキシマブ抗体陰性の症例においては変更したが、治療効果が改善しなかった症例が存在した。【考察】抗インフリキシマブ抗体の出現は治療薬変更の基準となりうると考える。
索引用語 炎症性腸疾患, 抗インフリキシマブ抗体