セッション情報 パネルディスカッション10(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

消化器疾患における分子標的治療

タイトル 消PD10-13:

血管新生関連サイトカインによるソラフェニブ効果予測

演者 宮原 孝治(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学)
共同演者 能祖 一裕(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学DELIMITER岡山大大学院・分子肝臓病学), 山本 和秀(岡山大大学院・消化器・肝臓内科学)
抄録 【背景】ソラフェニブは血管新生阻害作用を持つ分子標的治療薬であり,進行肝細胞癌に対する予後改善効果が証明されているが(Engl J Med 2008, 359: 378-90),その効果予測因子は明らかになっていない.【目的】血管新生関連サイトカインのソラフェニブの早期効果判定予測因子としての有用性を検討する.【方法】対象は,2009年7月から2010年10月の間に,当院および関連施設で肝細胞癌に対してソラフェニブを開始された30例.治療開始前後に測定した血清の血管新生関連サイトカイン9項目(angiopoietin-2, follistatin, G-CSF, HGF, IL-8, leptin, PDGF-BB, PECAM-1, VEGF)の発現と治療効果を比較した.【成績】治療後初回画像検査におけるModified RECIST効果判定では,CR 1例,PR 5例,SD 9例,PD 15例であった.PD群とnon-PD群(CR,PR,SD)での治療前のサイトカイン値を比較したところ,IL-8を除く8項目がPD群で有意に高値を示していた. Progression free survival (PFS)はangiopoietin-2, G-CSF, HGF, VEGF高値群(cut off= median)において有意に短かった.各症例において,IL-8を除いた8項目の中で治療前に高値(cut off= median)を示した項目数を集計し,治療効果と比較したところ,0-2項目群75.0%(9/12例),3-5項目群66.7%(4/6例),6-8項目群16.7%(2/12例) のdisease control rateを示し,治療前に高値を示す項目が少ない方が治療効果を期待できることが示唆された.治療1週間後のサイトカイン値の増加率の検討ではIL-8, leptinを除く7項目で有意な増加を示しており,その中でPDGF-BBのみが,PD群に比しnon-PD群で有意な増加を示した.【結論】血管新生関連サイトカインはソラフェニブの早期効果判定予測因子となる可能性が示唆された.
索引用語 ソラフェニブ, サイトカイン