セッション情報 パネルディスカッション10(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

消化器疾患における分子標的治療

タイトル 肝PD10-14:

進行肝細胞癌に対するソラフェニブ治療-有害事象からみた治療継続因子の検討-

演者 高田 樹一(北里大東病院・消化器内科)
共同演者 中澤 貴秀(北里大東病院・消化器内科), 小泉 和三郎(北里大東病院・消化器内科)
抄録 【目的】ソラフェニブは肝細胞癌治療において生存期間を延長させるが有害事象(以下AE)により治療継続困難となる症例も経験する。今回我々は継続加療の規定因子をAEの側面から検討した。【方法】対象は 2010年12月までにHCCに対しソラフェニブが導入された進行肝細胞癌症例50例。エンドポイントをAEによる治療中断とし継続加療に関する寄与因子について検討を行った。【成績】:男/女42/8例、 年齢69歳(37-83)、PS 0/1/2:27/22/1例、HB/HC/その他:9/26/15例、Child Pugh score 5/6:30/20例、肝癌研究会Stage 2/3/4a/4b:2/18/12/18例。導入時検査値中央値:Hb13.0(8.1-15.8)g/dl, Plt13.2 (5.9-39.6), T-Bil 0.8(0.3-2.1)mg/dl, AST 56(18-354)IU/L, ALT 47(14-238)IU/L, Alb 3.6(2.9-4.6)g/dl, AFP 39.4(2.7-409000)ng/dl, DCP 765.5(14-893000)mAU/ml。抗腫瘍効果:CR/PR/SD/PD:0/5/13/32例。投与期間中央値2.5ヶ月(1.5-3.5)、全生存期間10.9ヶ月(8.8-13.0)、無再発生存期間 2.7ヶ月(1.9-3.6)。AEによる治療中止は28例(56%)でその内訳は肝関連AE12例(肝予備能悪化6例、静脈瘤破裂3例、肝性脳症2例、肝癌破裂1例)、手足症候群+倦怠感11例、その他4例であった。AEによる治療中止の寄与因子は、治療前Hb≧13.0g/dl(P = 0.009 オッズ比0.319)とALT≧50IU/L(P = 0.019 オッズ比2.612)が有意な独立因子であった。【結論】AEによるソラフェニブ治療中止例はALT上昇例や貧血例に多いため今後減量して導入するなどして継続加療を図る必要がある。
索引用語 肝細胞癌, ソラフェニブ