セッション情報 パネルディスカッション12(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

切除不能進行消化器がんに対する治療選択

タイトル 消PD12-5:

切除不能・再発大腸癌に対する治療選択

演者 吉野 孝之(国立がん研究センター東病院・消化管内科)
共同演者
抄録 抗VEGF (Vascular Endothelial Growth Factor) 抗体であるベバシズマブ,抗EGFR (Epidermal Growth Factor Receptor) 抗体であるセツキシマブ,パニツムマブなどの分子標的治療薬を始めとする新薬導入により,切除不能・再発進行大腸がんの生存期間中央値は24カ月に到達し、KRAS遺伝子変異検査による個別化治療も開始された。KRAS遺伝子に変異を認める大腸癌の場合,抗EGFR抗体薬の効果が期待できないため,殺細胞性抗がん剤の併用療法であるFOLFOX療法(オキサリプラチンと5-FU持続静注の併用療法)、 CapeOX療法(オキサリプラチンとカペシタビンの併用療法)やFOLFIRI療法(イリノテカンと5-FU持続静注の併用療法)にベバシズマブを併用する治療が主体となる.KRAS遺伝子に変異のない野生型を示す大腸がんにベバシズマブと抗EGFR抗体でどちらを併用するのが最適かは議論の余地があり,未解決問題である.その他,(1) ベバシズマブ不応例への継続投与の意義(BBP: bevacizumab beyond PD)、(2) オキサリプラチンを含むレジメン後の最適な維持療法は何か、(3) G13DのKRAS変異を示す大腸がんに抗EGFR抗体は有効か、(4) セツキシマブとパニツムマブの使い分けは可能か、(5) 期待されるバイオマーカーは何か、(6) conversion treatmentの意義、(7) 5-FU系経口剤の位置づけ、などの多くの未解決な問題もある。最近になりVEGF trap (Aflibercept)やTAS-102などの有望な新薬が次々に登場し,切除不能・再発進行大腸がんの治療選択はさらに複雑化するものと思われる。本PDでは切除不能・再発進行大腸がん薬物療法を中心に、国内外の現状と将来を見据えた今後の展開を議論する。大腸がん薬物療法の最先端を論じる場になれば幸いである。
索引用語 大腸がん, 分子標的薬