セッション情報 パネルディスカッション12(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

切除不能進行消化器がんに対する治療選択

タイトル 消PD12-6:

切除不能進行肝細胞癌に対する治療戦略-本当に第一選択はSorafenibなのか

演者 小尾 俊太郎(杏雲堂病院・消化器肝臓内科)
共同演者 佐藤 新平(杏雲堂病院・消化器肝臓内科), 佐藤 隆久(杏雲堂病院・消化器肝臓内科)
抄録 【はじめに】肝細胞癌は慢性肝炎・肝硬変を背景に再発を繰り返し、やがて進行がんへと発展する。Sorafenibは質の高いRCTにて進行肝細胞癌において唯一有効性が証明された薬剤である。一方、本邦では進行肝細胞癌の治療として動注化学療法が独自に発展してきた。本ワークショップにおいて、切除不能進行肝細胞癌に対する治療戦略を論じるために、当科におけるSorafenibの治療成績と動注化学療法の治療成績を報告する。 
【目的】進行肝細胞癌における当院での Sorafenibの治療成績と動注化学療法の成績を検討して、切除不能進行肝細胞癌の治療戦略を検討することを目的とした。 
【対象と方法】対象と方法 Sorafenibについては、2011年1月までに治療した60症例を対象とした。Sorafenibは当初800mg/dayで開始した。Advers EventsのGradeに応じて基準に従い、減量・休薬・再開を適宜行った。IFN併用5FU動注化学療法は、2009年までに治療した649例の中からChild-pugh Aで門脈浸潤を有する259例を抽出して比較検討した。 
【結果】Sorafenibで治療した進行肝細胞癌は60例であった。そのうち門脈浸潤を有する症例は30例(50%)であった。全症例のMSTは6.9か月であった。無増悪生存期間の中央値は3.4か月であった。門脈浸潤症例のMSTは6.7か月であった。一方IFN+5FU動注化学療法を行った649例中門脈浸潤があるChild-Pugh Aの259例におけるMSTは、9.4か月であった。  
【結論】Sorafenibは、奏功する症例はほとんど存在しない。服用出来れば高率にStableが得られるが、有害事象は対応が遅れると重症化するという特徴がある。門脈腫瘍浸潤例におけるMSTは、ソラフェニブ6.7か月、IFN+5FU動注化学療法9.4か月であり、本当に進行肝細胞がんの第一選択がSorafenibで良いのか再検討が必要と思われる。現時点では腫瘍マーカーの推移で動注の効果予測を行い、奏功が得られない症例にsorafenibを適用する戦略を提案したい。
索引用語 肝細胞癌, 化学療法