セッション情報 パネルディスカッション12(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

切除不能進行消化器がんに対する治療選択

タイトル 消PD12-7:

切除不能・再発膵癌に対するKIF20A+VEGFR1ペプチドワクチン療法の第I相臨床試験

演者 加藤 順子(順天堂大・消化器内科)
共同演者 永原 章仁(順天堂大・消化器内科), 渡辺 純夫(順天堂大・消化器内科)
抄録 【目的】化学療法が無効な進行・再発膵癌患者に対して、ゲノム包括的遺伝子情報を活用し決定された膵癌に対する新規腫瘍抗原であるKIF20A由来HLA-A*2402拘束性エピトープペプチドとVEGFR1由来の腫瘍新生血管抗原エピトープペプチドを用いたがんペプチドワクチン療法の第I相臨床試験を行ない、主要目的を安全性、副次的目的を免疫反応および臨床的有効性として検証した。【方法】KIF20AおよびVEGFR1から同定されたHLA-A*2402拘束性エピトープペプチド各2mgを投与量とした。投与スケジュールは1週間に1回、計4回の皮下投与を1コースとした。少なくとも1コース以上投与可能であった症例を完遂例と定義し、各コース終了後1~2週間後に安全性を評価した。治療効果判定は1コース毎に行い、臨床的にProgressive diseaseと判断されるまで、可能限りワクチン投与を続行した。試験終了後にHLAを開示し、HLA-A*2402陽性群と陰性群(コントロール群)とで比較検討した。【成績】登録した19例のうち12例完遂したが、完遂できなかった症例はいずれも現病の悪化によるものと判断され、ペプチドワクチンの有害事象により完遂できなかった症例は認めなかった。男性9例、女性3例。投与部位にGrade1の硬結、発赤等の皮膚反応は認めたものの、局所の皮膚反応以外のペプチドワクチンに関わる有害事象はなく、DLTは認めなかった。1コース後の治療効果判定は、SD 2例、PD 10例であった。全症例の生存期間中央値(MST)は5.3カ月であった。HLA別のMSTは、HLA-A*2402陽性群で6.0カ月、HLA-A*2402陰性群で2.3カ月、p=0.0373と優位差を認めた。【結論】本臨床試験は、ペプチドワクチンによる重篤な有害事象を認めず、安全に行なうことができた。また延命効果も期待されることから、さらに有効性を評価するため現在第II相試験を実施している。
索引用語 ペプチドワクチン, 膵癌