セッション情報 パネルディスカッション12(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会・消化器外科学会合同)

切除不能進行消化器がんに対する治療選択

タイトル 消PD12-8:

切除不能進行消化器がんに対する治療選択

演者 奥坂 拓志(国立がん研究センター中央病院・肝胆膵内科)
共同演者
抄録  1997年にGEMが標準治療として位置付けられて以来、切除不能膵がんに対しても多くの第3相試験が実施されている。しかしこれまでGEMに比べて統計学的に有意な延命効果を示したレジメンは少ない。
 GEM+シスプラチン+エピルビシン+5-FU併用療法(PEFG療法)ははじめてGEMを凌駕する生存期間を示したレジメンである。しかし両群間の差は小さく、副作用に対する懸念や試験の質に対する疑念などから、標準治療として認知されるには至らなかった。GEM+エルロチニブ併用療法もGEMに比べて統計学的に有意な延命効果が示されており、簡便であることや副作用の懸念が少ないことから注目された。本治療による延命効果もわずかであったことから、標準療法としての十分なコンセンサスは得られていないが、本併用療法は米国においては最も多用されているレジメンといわれている。また我が国においてもエルロチニブの膵がんへの適応拡大が承認され導入される可能性があり、その場合にどのような患者に適応すべきかが議論となると予想される。
 最近、5-FUにイリノテカンやオキサリプラチンなどを用いた多剤併用療法の臨床試験が、膵がんにおいても複数行われている。このうち、FOLFIRINOX療法はGEMとの第3相試験の結果、生存期間が大きく上回ったことが示されている。しかし、本治療は副作用が有意に高率であり、今後、患者の状態に応じてGEMとの棲み分けが進むものと予想される。
 GEM vs. S-1 vs. GEM+S-1の第3相試験の結果も最近公表され、S-1の非劣性は示されたが、GEM+S-1の優越性は示すことができなかった。この結果より、S-1単独も1次治療の選択肢として考えられるが、その患者選択をどのように行うべきは現時点では明らかではない。
 膵がん化学療法においてはGEM単独治療を完全に置き換える治療法はいまだ出現していない。しかし治療の選択肢がわずかながら多様化してきており、その選択指針の確立が望まれている。
索引用語 膵がん, 化学療法