セッション情報 |
パネルディスカッション13(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
肝転移の治療
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タイトル |
外PD13-1:大腸癌肝転移の治療において、肝切除は中心的な役割を果たす
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演者 |
高橋 道郎(東京大・肝胆膵外科) |
共同演者 |
長谷川 潔(東京大・肝胆膵外科), 國土 典宏(東京大・肝胆膵外科) |
抄録 |
【背景】大腸癌肝転移に対する治療において、肝切除が中心的な役割を果たすことは、異論をまたない。しかし新規抗癌剤や分子標的薬剤の開発により、治療方針が変わりつつある。【当科の治療方針】大腸癌肝転移を発見した時点で、積極的な肝切除を考慮している。切除適応は原発巣および肝外病変がコントロールされているものとする。肝転移個数は考慮していない。切除術式はなるべく肝組織を温存するよう、部分切除を組み合わせて行っている。片肝に病変が集中している場合は、片肝切除および部分切除を組み合わせている。切除後の肝容積が不足すると予想される場合は、門脈塞栓術や凍結組織を用いた血管再建を施行している。術後療法に関しては、経口5-FU+ロイコボリン療法を評価するRCTの登録を終え、現在SOX療法の至適レジメンを検討する第2相試験を検討中である。【治療成績】1994年から2010年12月まで、403例の大腸癌肝転移症例に初回肝切除を行った。同時性208例・異時性195例、平均腫瘍数3.6個、最大腫瘍径平均4.1cm、H因子内訳はH1:226例(56%)、H2:136例(34%)、H3:41例(10%)であった。5年生存率53.8%、5年無再発生存率19.3%であった。2006年以降の症例において、当初は切除不能と診断されたが、化学療法により病変の縮小が得られ、肝切除を施行した症例は14例認めた。切除不能と診断された要因は、肝外病変のコントロール不能8例、肝内多発病変のため予想残肝不足4例、高度脈管浸潤1例であった。これらの症例の肝切除後の生存期間の中央値は16.7か月であった。内13例は抄録執筆時点で生存中であった。【考察】当科の治療方針により、5年生存率50%超と良好な成績であった。切除不能であった症例が、化学療法後に切除可能となり、長期生存が得られる可能性もあることが示唆された。 |
索引用語 |
肝転移, 肝切除 |