セッション情報 パネルディスカッション13(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

肝転移の治療

タイトル 外PD13-2:

肝転移を有する進行・再発大腸癌に対する治療戦略 ―多施設共同試験(ROOF試験)の結果からー

演者 近藤 建(国立名古屋医療センター・外科)
共同演者 高橋 孝夫(岐阜大大学院・腫瘍外科学), 柴田 佳久(豊橋市民病院・一般外科)
抄録 (背景)肝転移を有する大腸癌に対する化学療法後切除の有用性が欧米より報告されている。しかし大腸癌肝転移に対する術前化学療法もしくはconversion therpyの適応、至適投与法は明らかではない。(方法)平成20年1月に多施設共同第II相試験を開始した。対象は切除不能の大腸癌肝転移症例で肝外病変を伴わないものとした。なお、切除不能とは、以下の条件のどれかを満たす場合とする。1)肝転移巣の個数が、5個以上 2)肝転移巣の最大径が、5cmを超える、3)前述の条件を満たさない場合でも、十分な残肝(40%程度)を確保した治癒的肝切除(R0の肝切除)ができないと判断される。試験治療の術前化学療法はmFOLFOX6とし、6コースから8コース施行後、手術適応規準(腫瘍要因、患者要因)を満たした場合、R0の肝切除を目的とした手術を化学療法終了後6週以内に行うこととした。主要評価項目は肝切除までの治療完遂率で副次的評価項目はR0肝切除率などである(結果)21年6月に36例の登録が終了した。登録症例は適格基準1)28例、2)19例、3)18例であった。大腸癌取り扱い規約に於けるH2が19例、H3が14例となる。奏効例はCR0例、PR18例、SD12例、PD4例であり、奏効率50%であった。化学療法の投与回数は6コース未満5例、6-7コース18例、8コース12例であった。肝切除まで行った症例は14例(12例が7コースまでの投与)で、治療完遂率は38.9%であった。肝切除率は、適格基準別では1)または2)(取扱い規約H2)を満たすものは52.6%(10例)、1)および2)を満たすもの(H3)は21.4%(3例)であった。(結語)今回の試験ではmFOLFOX療法6-8コースのいわゆる術前化学療法を試験治療としたが、グループの解析ではH2で切除率は52.6%と高かった。術前化学療法はH2症例に対して有効と考えられ、H3症例に対してはconversion therapyなど別の治療戦略の必要性が示唆された。
索引用語 大腸癌肝転移, 術前化学療法