抄録 |
【目的】直腸癌リンパ節転移診断成績および治療成績から画像診断からの側方郭清適応決定について検討する。【対象・方法】1998年以降の直腸癌切除症例のうち、CT、MRIあるいはPETを施行した236 例を対象とし以下の項目について検討した。1)当院にPETが導入された2005年以降の症例を対象として、CT、MRIおよびPETによるリンパ節転移診断成績を比較検討した。2)2008年までにMRIを施行した症例を対象として、cN別の治療成績を算出し画像診断からの側方郭清適応決定について検討した。cN(+)の診断基準は、CT、MRIが描出リンパ節最長径5mm≦、PETがFDG集積陽性とした。【結果】上方向リンパ節(UN:Upward node)の転移診断成績(Accuracy,Sensitivity,Specificity,PPV,NPV)は、CT;67.9%,74.4%,63.6%,57.1%,79.2%、MRI;80.5%,90.9%,72.7%,71.4%,91.4%、PET; 70.6%,25.0%,97.3%,84.6%,68.9%、側方(LPN:Lateral pelvic node)は、CT;66.7%,61.5%,63.6%,53.3%,76.2%、MRI;75.8%,92.9%,63.2%,65.0%,92.3%、PET;86.8%,64.3%,100%,100%,82.8%であり、UN、LPNとも、sensitivityとNPVが最も高いのはMRI、specificityとPPVが最も高いのはPETであったが、PETのsensitivityは不良であった。MRIを施行した2008年までのR0例のうち(観察期間中央値48.6ヶ月)、側方郭清(-)102例の局所再発形式は、右側方4例(3.9%)、左側方1例(1.0%)、後方再発3例(2.9%)で、右側方の2例、左側方の1例はcLPN(+)例であった。血行性再発は10例(9.8%)存在した。cLPN(-)例での側方郭清(+)例と(-)例の5年RFSは、pMP群:100%,93.8%、pA,pUN(-)群: 100%,94.1%で差を認めなかった。また、pA,pUN(+)群では、郭清(-)例の56.7%に対し、郭清(+)例は71.4%で高い傾向にあったものの有意差はなかった。【考察】MRIはfalse negativeの少ない臨床的に有用な検査法と思われた。cLPN(-)例でのRFSは側方郭清の有無で差を認めず、MPおよびA,UN(-)例については側方郭清省略の可能性が考えられた。 |