セッション情報 パネルディスカッション13(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

肝転移の治療

タイトル 外PD13-4:

大腸癌肝転移に対する集学的治療戦略と初回肝切除症例の成績

演者 水野 隆史(静岡がんセンター・肝胆膵外科)
共同演者 絹笠 祐介(静岡がんセンター・大腸外科), 上坂 克彦(静岡がんセンター・肝胆膵外科)
抄録 【治療戦略】当院の肝転移に対する治療方針は切除適応外の肝外転移がなく, 画像上切除可能であれば転移腫瘍個数・腫瘍径に関わらず第一に肝切除術を考慮し, 原則術後補助化学療法を施行(2003-2005/7: 5FU/LV, 2005/8-現在: mFOLFOX6)している. 肝外転移併存同時性肝転移症例, 画像上切除不能症例, 急速に転移病変が増大・増加する症例は全身化学療法を導入し, 奏効が得られ切除可能となればConversion Surgeryを考慮する. 初回肝切除後の残肝再発例は、初発肝転移手術の基準に加え、初回切除後6カ月以降の再発であれば原則切除の方針である.【対象と方法】2003年1月から2009年3月に肝切除を施行した大腸癌肝転移症例188例216手術中, 肝転移病変への前治療歴がない初回肝切除症例は(肝転移前治療症例, Conversion surgery症例, 再肝切除症例を除く)131例であり, その内R0/1切除を得た126例の無再発生存期間(DFS)・全生存(OS), 再発後治療による現段階でのcancer free rateを検討した. 【結果】観察期間中央値40.0月. R0/R1/R2切除:114/12/5例. 平均年齢63.5歳, 男/女:78/53例. 同時/異時性:71/60例, 術前CEA中央値:11.0ng/ml, H1/2/3:92/29/10例. 90/126例(71.4%)に術後補助化学療法を施行.  3/5年-DFSは30.3%,29.2%であり, 41例が無再発生存中である. 85例の再発例に対し, 化学療法と計42回の再発巣切除により, 22例が現在に至るまでcancer freeとなり, 全症例では63/126例(50.0%)にcancer freeが得られている. 初回肝切除後3年および5年全生存(OS)はそれぞれ79.2%, 63.2%と良好な成績であった.【まとめ】初回肝転移切除後の再発率は未だ満足できるものではないが、全身化学療法とさらなる再発巣切除により、半数の症例にcancer freeが期待できる.
索引用語 転移性肝癌, 大腸癌肝転移