セッション情報 |
パネルディスカッション13(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
肝転移の治療
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タイトル |
消PD13-6:予後向上を目指した術前抗癌剤投与と肝切除による大腸癌肝転移例の治療戦略
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演者 |
吉留 博之(千葉大大学院・臓器制御外科学) |
共同演者 |
木村 文夫(千葉大大学院・臓器制御外科学), 宮崎 勝(千葉大大学院・臓器制御外科学) |
抄録 |
【目的】大腸癌肝転移例では同時転移例の切除時期と化学療法を先行するかなどを考慮し、肝切除のtimingを決定することが重要である。またExpert panelで報告された治療戦略が本邦においても有効かの検証を目的とする。【方法】大腸癌肝転移初回肝切除を施行した355例を対象。Expert panelでのoncologicalにnot optimally resectableな因子(5個以上・同時性・5センチ以上・原発巣リンパ節転移陽性・腫瘍マーカー陽性)と技術的に切除不能(3肝静脈浸潤など)を検討した。術前化学療法後肝切除27例では切除の時期と肝・脾容積と肝機能を検討。【結果と考察】原発巣との待機的肝切除施行と原発巣pN2以上が、多変量解析で有意な予後規定因子であった。また転移個数10個以上が早期再発の独立因子であった。肝転移腫瘍の全肝に占める割合の高い同時性例では、抗癌剤投与並びに肝切除の先行が有効であることが示唆された。術前化学療法の効果を投与2ヶ月後の時点で検討すると、20%以上の腫瘍縮小が見られた症例では予後の延長効果が認められる傾向があり、特にcetuximab併用では早期の腫瘍縮小効果が認められた。肺転移併存症例では、術前化学療法を先行し肝・肺とも切除可能な場合に限り段階切除の施行により有意に予後が向上した。切除不能症例に対してはmodified IRISまたはmFOLFOX6 + Bevacizumab/Cetuximabを投与し、45%に肝切除移行可能で、肝切除施行した症例は有意に切除不能例に比し予後が延長し(P=0.009)、病変の効果SD以上の例は3生率70%で2例が5年以上生存中である。術前抗癌剤投与症例における肝障害の検討で、ICGR15は平均10.5%で抗癌剤の種類による明らかな差はなかったが、6ヶ月以上の投与例にてICGR15の上昇とoxaliplatinをベースとした症例では脾腫も有意に認めた。【結語】大腸癌肝転移例ではpN2以上でかつ他の因子も陽性である場合は術前化学療法併施肝切除が有効で、その場合に技術的に切除可能な症例では2ヶ月後の状態を詳細に検討して切除時期を決定することが有効である。 |
索引用語 |
化学療法, 肝切除 |