抄録 |
大腸癌肝転移では切除可能は10~30%で、切除後の5年無再発生存は20%である。切除適応は施設毎に異なる。当科では大腸癌肝転移例にRFAを実施してきた。【対象・方法】適応は、切除不能または切除希望せず、穿刺10回/焼灼100分以内で根治や腫瘍減量を達成できること(10個/6cm程度まで)、肝外病変はあってもよいが腫瘍量が少なく予後への影響が小さいこと、再発の可能性が大きい症例では、化学療法でSD以上の効果あるいは標準化学療法を実施できることとした。151例にRFAを実施した。年齢65.1±11.3歳(81歳以上16例)、男性93例、径3.2±1.3cm、病変数3.9±4.6個だった。119例(79%)で前治療(全身化療87例,肝切除43例,動注23例,他)があり、肝転移の初回治療として当科のRFAを実施したのは32例に過ぎなかった。51例(34%)で肝外病変があり、内48例は切除不能とされた[肺転移34例(切除可能3例),LN転移14例,腹膜播種10例,原発巣再発7例,骨転移2例,脾転移1例,卵巣転移1例,副腎転移1例(重複あり)]。この他、心肺疾患等合併7例,切除不能多発肝転移20例,肝切除後多発再発4例,肝切除後断端再発3例等だった。このため、RFA施行理由としては手術適応なしが92例(61%)だった。術前検査は胸腹骨盤部CTとUSでPET等は行なわなかった。RFAはソナゾイド造影下を原則とし、同サイズのHCCと比べ穿刺回数を多く焼灼時間を長くした。術後化療を勧めたが無治療例も多かった。【成績】RFA初回日を起点とした151例の生存率は1,3,5,7,10年93%,60%,38%,27%,24%で、5年生存15例、10年生存2例だった。合併症は延べ315例中11例(3.5%)に認められ、消化管穿通・穿孔3例、肝梗塞3例、肝膿瘍2例、気胸1例、皮膚熱傷1例、胆管損傷 1例だった。【結論】肝転移では切除以外には長期生存が得られないとされ、第一選択は切除とされてきた。しかし、RFAでは、不利な条件が多いにもかかわらず、生存率は良好で10年生存も認められる。再発を早期発見し低侵襲治療を繰返す治療戦略は肝転移でも有効と思われる。RFAは治療の選択肢に加えられるべきだろう。 |