セッション情報 パネルディスカッション13(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

肝転移の治療

タイトル 肝PD13-9:

転移性肝癌に対する経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)

演者 三枝 善伯(東邦大医療センター大橋病院・消化器内科)
共同演者 寺谷 卓馬(NTT東日本関東病院・消化器内科), 竹内 卓(NTT東日本関東病院・消化器内科)
抄録 はじめに:転移性肝癌は、全身疾患として取り扱われていることも多く、全身化学療法が標準的治療である。近年、分子標的薬の登場により大きく予後が改善してきている。しかし、化学療法では完治を得ることは難しく、予後改善をめざした治療であるとも言える。また、癌腫によっては肝切除も標準的治療とされているが、その適応は限られている。転移性肝癌に対するRFAは、腫瘍径や腫瘍数によって治療の目的が2つに大別することができる。転移巣が小さく・少ない場合は、肝切除同様に局所根治療法として、大きく・多い場合は、腫瘍減量術として施行し、化学療法同様、予後改善することが可能であると考えている。RFAを現行の治療と組み合わせることで、さらなる予後改善を目指すことができると考える。目的:2006年4月から2010年11月までに、NTT東日本関東病院にてRFAを施行した1233例中の転移性肝癌323例において、生存期間中央値(MST)、合併症について化学療法と文献的に比較し検討した。結果:大腸癌肝転移症例226例(116名:70%)のRFA治療開始日からのMSTは25.6ヶ月であった。FOLFOX4 or XELOX + BevacizmabのMST:21.3ヶ月であったと報告しており、良好な結果と考える。胃癌肝転移症例24例(12名:7%)の前治療を含む肝転移治療開始日からのMSTは22.7カ月であった。S-1+CDDPでは、MSTは13.0ヶ月と報告しており、良好な結果であった。乳癌肝転移症例13例(7名:4%)の前治療を含む肝転移治療開始日からのMSTは21.9カ月であった。AT ( Doxorubicin + Paclitaxel )では、MSTは22.0ヶ月であり、ほぼ同等の結果であった。膵癌肝転移症例10例(8名:3%)の前治療を含めた肝転移治療開始日からでは、MSTは10.5ヶ月であった。GS療法(S-1+GEM)では、MSTは10.1ヶ月であり、ほぼ同等の結果であった。合併症は全体で23例(7%)発症した。いずれも内科的治療で改善した。結論:転移性肝癌に対するRFA治療の目的は、生存期間の延長である。化学療法の文献と比較すると、良好な成績であると考えられる。
索引用語 radiofrequency ablation, liver metastases