抄録 |
【背景】大腸癌肝転移に対する治療法として外科的切除が最も有効であるが、大腸癌以外の悪性腫瘍肝転移の治療適応は定まっていない。当科で行った肝除例のうち、大腸癌と比較的予後良好な膵内分泌腫瘍を除いた悪性腫瘍肝転移症例の切除成績を検討した。【対象と方法】1994年1月より2009年3月の間に175例の非大腸癌非内分泌腫瘍肝転移症例に対し191回の切除を行った。原発病変内訳は胃癌72例、乳癌33例、GIST16例、扁平上皮癌(食道、頭頚部癌)12例、婦人科悪性腫瘍11例、肉腫8例、その他の腺癌14例、その他の非腺癌9例であった。原発巣との同時切除を57例に、異時切除を118例に行った。【結果】全症例の初回肝切除後3,5年生存率は45,32%,無再発生存率は20,18%。症例別の3,5年生存率は、胃癌41,30%、乳癌49,33%、GIST42,28%,扁平上皮癌41,28%、婦人科悪性腫瘍35,35%,肉腫75,50%、その他の腺癌42,21%、その他の非腺癌39,25%であった。5年以上の長期生存が得られた症例の原発病変は胃癌13例(18%)、乳癌9例(27%)、GIST2例(13%)、扁平上皮癌2例(17%)、婦人科悪性腫瘍1例(9%)、肉腫1例(13%)、その他の腺癌3例(23%)、その他の非腺癌2例(22%)。多発例(多発vs単発)とR2切除が予後不良(Logrank検定:それぞれp=0.042、p<0.001)、肝転移切除までの期間(1年未満vs1年以上)は有意差を認めなかった(p=0.329)。【結語】非大腸癌非内分泌腫瘍肝転移症例において、肝転移は遠隔転移に相当するが非切除例と比べると予後は良く、積極的に肝切除を検討しても良いと考えられた。 |