セッション情報 パネルディスカッション13(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

肝転移の治療

タイトル 外PD13-12:

胃癌肝転移に対する手術治療の成績と予後因子

演者 坂本 裕彦(埼玉県立がんセンター・消化器外科)
共同演者 網倉 克己(埼玉県立がんセンター・消化器外科), 田中 洋一(埼玉県立がんセンター・消化器外科)
抄録 【目的】胃癌肝転移に対する手術治療は唯一の治癒的治療であるが、大腸癌肝転移に比べて切除例が少なく、手術適応にコンセンサスがあるとは言いがたい。良い適応を示すことを目的に自験例について治療成績と予後因子を検討した。【方法】1990年から2010年に当院において胃腺癌肝転移に対して肝切除を行なった53例を対象に、生存率と再発形式を検討した。生存に対する寄与を同時性、個数、転移巣最大径、原発巣の組織分化度、T、N、肝転移を除いた病期(規約第14版)について単変量解析を行い(Kaplan-Meyer Log-rank)、有意差を認めたものについては多変量解析(Cox比例ハザードモデル)を行なった。【成績】53例の5年生存率は27.3%で再発は全て2年以内に起こった。5年経過した38例中9例(23.7%)が5年生存した。同時性、個数、転移巣最大径、原発巣のT、N、肝転移を除いた病期(規約第14版)のうち、個数(単発/多発)(p=0.0004)と原発巣のN(p=0.0239)のみが単変量解析で有意差を示した。Nの寄与は同時性症例でより顕著であった。N3症例は肝外再発が多い傾向を認めた。多変量解析では個数、N(N2 以下vs.N3)ともに有意差を示した。【考察と結論】胃癌肝転移の予後は原発因子と肝因子に影響され、原発局所制御の重要性が強調される。肝転移切除の論文が本邦に偏るのは欧米の原発制御に問題がある可能性はないだろうか?単発性肝転移は切除の良い適応と考えられるが、多発例にも長期生存は報告されており、症例選択は必要であるが安易に適応外とすることは避けるべきであると考える。
索引用語 胃癌肝転移, 手術治療