セッション情報 パネルディスカッション15(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

食道癌に対する内科的治療と外科的治療の接点

タイトル 外PD15-2:

食道表在癌治療における内視鏡的切除と外科手術の接点

演者 島田 英雄(東海大大磯病院・外科)
共同演者 小澤 壯治(東海大付属病院・消化器外科), 千野 修(東海大付属病院・消化器外科)
抄録 【目的】T1b食道癌に対する外科手術例および食道表在癌に対する内視鏡的切除(ER)例の治療成績から両治療法の適応と接点について報告する。【対象】外科手術例は1980年8月から2007年12月までに行ったT1b胸部食道癌の303例を対象とした。深達度亜分類ではSM1:47例、SM2:97例、SM3:159例である。ER例は、1989年9月から2008年12月までに施行した796例を対象とした。深達度亜分類ではT1a-EP,LPM:553例、T1a-MM,SM1:193例、SM2,3:50例である。【方法】外科手術は胸部食道全摘、胃管再建で全例に3領域リンパ節郭清術を行った。ER例では、EMRはEEMR-tube法でESDはダブルチャンネルESDで行った。【成績】検討1.外科手術例での転移リンパの有無と5年生存率については転移陰性例で81.8%、転移陽性例で58.8%であった。またT1bN0の深達度亜分類別ではSM1:100%、SM2:75.6%、SM3:77.6%であった。検討2. ER後の局所再発に関しては、1年以上の経過観察ができた751例のうち28例(3.7%)に認めた。診断までの期間は5~44ヶ月で中央値は14.7ヶ月であった。局所再発例の治療に関して、90%は内視鏡的治療で対応することができた。検討3.ER後のリンパ節再発は、SM1症例39例中、6例に認めた。リンパ節再発診断までの期間は41~60ヶ月で中央値は50ヶ月であった。再発リンパ節は頚部、胸部、腹部の3領域に認められた。検討4.ER後の病理組織結果から脈管侵襲を中心にリンパ節転移リスクを考慮し、追加外科切除を施行したSM1症例は11例である。うち5例(53.3%)にリンパ節転移を認めた。転移リンパ節個数は2個:3例、1個:2例であり、術前の総合的画像診断では診断できなかった。【結論】外科手術とERの治療選択の境界はSM1までの症例であり、SM2以深は外科手術の適応である。術前の深達度、転移リンパ節診断には限界がありER例でのT1a-MM,SM1症例に関しては、切除標本の病理組織所見から追加治療の検討が必要である。
索引用語 食道癌, 内視鏡的切除