セッション情報 パネルディスカッション15(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

食道癌に対する内科的治療と外科的治療の接点

タイトル 消PD15-6:

T1b(SM2以深)StageI食道癌における内視鏡治療と外科治療の接点

演者 三浦 昭順(がん・感染症センター都立駒込病院・外科)
共同演者 加藤 剛(がん・感染症センター都立駒込病院・外科), 門馬 久美子(がん・感染症センター都立駒込病院・内視鏡科)
抄録 目的:T1b(SM2以深)食道癌に対する適切な治療戦略を検討.対象と方法:2008年までに当院で胸部食道癌(扁平上皮癌) T1b(SM2以深)N0M0Stage Iと診断,内視鏡手術(ER)を行った50例を対象,同時期に根治術を施行した103例と比較,retrospectiveに検討.結果:1)根治術:SM2/3=64/39.脈管侵襲は陰性/陽性=16/87.リンパ節転移は45例(44%).特に脈管侵襲陰性16例(SM2/3=11/5)の病理組織学的特徴は,全例pN0,平均SM2浸潤距離525μm,平均SM2浸潤体積17mm3,INFbであった.pN0症例における原病死は5例(9.2%,SM2/3=3/2),いずれも2年以内の遠隔再発で,por,脈管侵襲高度などの病理組織学的特徴を認めたがいずれもERが可能な小病変であった.2)ER:A)内訳:耐術能に問題がありERを選択せざるを得なかった症例は23例(46%).うち,追加治療としてCRTを施行しえた症例は13例.耐術能に問題がなかった症例は27例(54%)、内訳は追加治療無し/CRT/手術=7/9/11.B)病理学的特徴:追加治療非施行群では全例脈管侵襲陰性例で,平均深達距離は600μm,INFbと根治術群の脈管侵襲陰性,pN0の16例の病理組織学的特徴とほぼ同等であった.C)転帰:原病死は6例,本人が追加治療を拒否し,腹部リンパ節再発をきたした1例を除き5例は耐術能に問題があり,追加治療が不可能な2例,CRTは3例.いずれも2年以内に遠隔再発,照射範囲外の腹部リンパ節再発を発症し原病死.耐術能に問題がない27例中16例(59.2%)に温存治療が可能で,うち15例(93.8%)はコントロール可能.Over allでの5生率(%)は48.0%(43.5/42.9/75)であったが,Cause specificは78.2%(81.9/82.1/100),耐術能に問題のない症例に限ると94.1%.D)CRTの効果:追加治療にCRTを施行した22例中,照射範囲内のリンパ節再発は認めなかったが,2例に治療関連死を認めた.結論:食道癌T1bN0StageIにおいて,ERによる全生検,病理組織学的診断を正確に行うことで,適切な追加治療を検討することが可能であり,本検討では59.2%に温存治療が可能であった.
索引用語 T1b食道癌, 内視鏡治療