セッション情報 |
パネルディスカッション15(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)
食道癌に対する内科的治療と外科的治療の接点
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タイトル |
内PD15-7:ESD後根治手術施行食道癌の検討
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演者 |
大塚 耕司(昭和大・消化器・一般外科) |
共同演者 |
村上 雅彦(昭和大・消化器・一般外科), 五藤 哲(昭和大・消化器・一般外科) |
抄録 |
はじめに)食道癌に対して内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ESD)が施行され、病理組織学的評価の結果、追加治療が必要と判断された症例に対して根治手術を行ってきた。しかしながら、術後経過観察中、早期に再発を認める症例を経験したため、ESD後手術施行症例に対して検討を行った。対象)2007年6月~2009年7月までの2年間に他院でESDを施行されたのちに術前補助療法を施行せずに当院で根治手術が行なわれた6例。ESDは全例一括切除が行われたが、穿孔が1例に認められた。結果)ESD後の病理学的検討では、水平断端陽性が2例、垂直断端陽性は3例であった。またsm浸潤は5例(sm1: 4例、sm2: 1例)に認められ、脈管・リンパ管浸襲は全例認められなかった。 追加治療として根治的手術療法が選択された。平均年齢63.8歳、全例男性であった。病変の主座はLt 4例、Mt 1例、Ae 1例。手術は、胸腔鏡下食道亜全摘術(VATS-E)が施行され、胃管にて再建した。平均手術時間は317.5分、平均出血量は71.6ml、全例術直後に抜管され、嗄声、肺合併症などは認めなかった。平均摘出リンパ節個数は38.3個、術後入院期間は17.8日。リンパ節転移を認めた症例は3例(50%)であった。いずれも標本中に癌遺残は認められなかった。術後再発した症例は3例で、手術後から再発までの期間は542日。再発形式は肺転移1例、傍大動脈リンパ節2例、であった。2例は552日と171日に癌死。他の1例についても現在化学療法中である。考察)全例とも、治療前Stageから判断すると95%以上の5年生存率が予想される症例と思われた。しかしながら、手術後、短期間に再発をおこしている症例が半数に見られた。原因が、ESD操作によるものとも推測され、症例数の集積によって多岐にわたった検討が必要であると思われた。まとめ)今回我々はESD後に手術を施行した症例において、術後早期再発を認めた症例を検討した。今後ESD後の症例に対して、術前化学療法などを含めた更なる治療のストラテジーを検討したい。 |
索引用語 |
食道癌, ESD |