セッション情報 パネルディスカッション15(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

食道癌に対する内科的治療と外科的治療の接点

タイトル 消PD15-8:

食道表在癌に対するSentinel Node Navigationを応用した治療戦略

演者 松本 正隆(鹿児島大大学院・腫瘍制御学・消化器外科学)
共同演者 上之園 芳一(鹿児島大大学院・腫瘍制御学・消化器外科学), 夏越 祥次(鹿児島大大学院・腫瘍制御学・消化器外科学)
抄録 【目的】食道表在癌のなかでもリンパ節転移の少ない粘膜癌(M1/M2)に対しては内視鏡的治療が,比較的高率にリンパ節転移,脈管侵襲のみられる粘膜下深層癌(SM2/SM3)にはリンパ節郭清を伴う食道切除術が行われるのが一般的である。当科ではリンパ節転移が散見されるM3/SM1以深の表在癌に対しては術前診断でリンパ節転移陰性であればSentinel Node Navigation(SNN)を臨床応用することでリンパ節郭清の判断の一助としてきた。内科・外科治療の境界病変と考え,SNNを応用した内視鏡的治療例と外科的治療例を解析し,より適切な食道表在癌の治療戦略について検討した。【方法】術前精査でリンパ節転移なしと診断された食道表在癌で,SNNを応用した内視鏡的治療(EMR/ESD)21例(EP/LPM:MM/SM1=2:19)と食道切除術の行われた37例を対象とした(術前加療例,同時性重複癌は除外,EP/LPM:MM /SM1:SM2/SM3=1:6:30)。Sentinel Node(SN)の同定率,手術術式,成績について検討した。【成績】(1)内視鏡的治療+SNN:食道癌の病理深達度はEP/LPM:MM/SM1:SM2/SM3=9:11:1で,SN同定率は95%であった。1例にCytokeratin陽性の微小転移を認めたが,再発なく経過している。(2)食道切除術+SNN:食道癌の病理深達度はEP/LPM:MM/SM1:SM2/SM3:MP=7:13:16:1で,リンパ節転移を2例に認めた。SNの同定率は97%で,転移リンパ節はいずれもSNに含まれていた。HE染色で転移を認めなかった症例のなかで4例に微小転移を認め,手術術式では11例に非開胸食道抜去術が選択されていたが,再発例,原病死例を認めていない。【結論】食道表在癌の治療では,術前検査でcN0の診断のもと,SNNを応用することでリンパ節郭清の縮小化をはかりながら良好な術後経過を期待できる。
索引用語 食道表在癌, Sentinel node navigation