セッション情報 パネルディスカッション15(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

食道癌に対する内科的治療と外科的治療の接点

タイトル 外PD15-9:

食道癌治療における手術療法の役割

演者 宮崎 達也(群馬大大学院・病態総合外科学)
共同演者 宗田 真(群馬大大学院・病態総合外科学), 桑野 博行(群馬大大学院・病態総合外科学)
抄録 【背景】食道癌治療における手術療法の役割は従来治療の中心的役割を果たしてきた。しかしながら、内視鏡治療の進歩と適応拡大、化学放射線療法の進歩に伴って新たな外科治療の適応が問われている。【目的】食道癌における内科的治療と外科的治療の接点を検討するため進行度に従って治療成績を検討。【方法】(1)ESD症例を除いたcStageI(UICC第6版)症例132例の手術75例(以下S)、根治的化学放射線療法8例(以下CRT)、放射線療法49例(以下RT)の治療成績、(2)nonT4-cStageII,III症例の治療成績、(3)遠隔転移症例を除いたT4症例における根治的CRTと術前CRTの治療成績について検討。【結果】(1)cStageI症例でS:CRT:RT の5生率は各々89:60:68%であった。StageIに関してはCRTとRTに差を認めなかった。(2) nonT4-cStageII,III症例についてはS:CRT:RT の5生率は各々61:32:5%であった。疾患特異的生存率での5年生存率はCRTS:CRT:RT =64:49:8%であった。(3) T4症例の術前CRT症例は根治的CRTと比較し2年生存率が36%vs19%で予後良好であった(P<0.01)。治療効果別に検討するとMSTは術前CRTで奏功例(CR,PR):16.6月、根治的CRTで奏功例:14.4月、術前CRTで非奏功例(SD,PD):6.9月、根治的CRTで非奏功例:6.8月であったが、5年生存率をみると術前CRTで奏功例36.8%、術前CRTで非奏功例33%であるのに対し根治的CRT症例は5年生存例を認めなかった。 【結語】食道癌治療における手術療法は内視鏡治療適応外で切除可能な症例に関しては、いまだ中心的な役割を果たす。切除不可能な症例に対しても適切な前治療を施すことにより切除可能な状態で手術療法を選択することで長期予後が期待できる。今後、根治的CRT後のサルベージ手術、頸部食道癌の喉頭温存目的のQOL保持としての根治的CRT後のサルベージ手術、あるいはT4解除目的のCRT後の手術などadjuvant surgeryとしての位置づけも重要性が増していくと考えられる。
索引用語 食道癌, 手術療法