セッション情報 |
パネルディスカッション15(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)
食道癌に対する内科的治療と外科的治療の接点
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タイトル |
外PD15-10:食道癌に対する根治的化学放射線療法後のSalvage手術
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演者 |
中村 努(東京女子医大・消化器外科) |
共同演者 |
太田 正穂(東京女子医大・消化器外科), 山本 雅一(東京女子医大・消化器外科) |
抄録 |
食道癌治療における内科と外科の接点として根治的化学放射線療法後の遺残再発に対するSalvage手術がある。施行し始めてから10年以上が経過し、化学放射線療法の内容や手術術式が変遷してきた。今回、当院におけるSalvage手術の適応と有用性を検討した。【対象】1992-2010年に食道癌に対し根治的化学放射線療法施行後のSalvage食道切除術55例とSalvageリンパ節郭清術10例を検討した 【方法】 Salvage食道切除術について1992-9年までの前期32例と2000-10年の後期23例に分類し比較した。治療前Stage、根治的化学放射線療法の内容と効果を調べた。Salvage手術前状態、手術内容、術後経過および予後について調査した。【結果】根治的化学放射線療法症例は増加しているが、Salvage手術は増加していない。遺残と再発を治療後3カ月で分けると後期は再発が多かった。治療前StageはStage I:9例、Stage II::4例、Stage III:10例、Stage IV:32例で前期および後期に差はなかった。化学放射線療法は後期に50.4Gyおよび補助化学療法をした症例が多い。食道切除術式ではリンパ節郭清を縮小したが、アプローチは右開胸が多く変りなかった。術後の在院死亡55例中4例7%で、直接死亡1例2%であった。内訳は3領域郭清を伴う拡大手術2例および頸部食道癌症例が2例で呼吸器関連の合併症が原因であった。前期は在院死が約10%であり後期は1例のみ4%であったが、退院後に肺炎、髄膜炎および胸水貯留などで加療を要する症例が多い。リンパ節転移再発は照射野内の局所に少なく遠隔部の転移が多いため、近年FDG-PETを行い局所のみの集積例にSalvage手術の適応を限定している。【結語】Salvage食道切除術の根治性はリンパ節転移のない食道局所のみの再燃再発例に得られる。手術の安全性は向上したが、長期的に食道手術後状態と根治的化学放射線療法の晩期障害が加わり全身状態の不良な症例が多いことである。Salvageリンパ節郭清術は孤立性転移では有効であったが、浸潤性転移では困難であった。 |
索引用語 |
食道癌, Salvage手術 |