セッション情報 パネルディスカッション15(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

食道癌に対する内科的治療と外科的治療の接点

タイトル 消PD15-12:

化学放射線治療後の遺残、再発食道癌に対する内視鏡治療の有用性について

演者 近藤 真也(愛知県がんセンター中央病院・内視鏡部)
共同演者 田近 正洋(愛知県がんセンター中央病院・内視鏡部), 丹羽 康正(愛知県がんセンター中央病院・内視鏡部)
抄録 【目的】食道癌に対する放射線(RT)および化学放射線治療(CRT)は、全てのStageにおいて選択肢の一つとなりうる治療法である。一方で治療後の局所遺残または再発病変に対する治療に関しては、未だ定まった指針が無い。追加治療としては近年Salvage手術の有効性を示した報告が多いが、通常の食道切除と比べ死亡率、合併症の頻度が高いという報告も多い。このため、遺残、再発が表層に留まっていると判断される場合は内視鏡的治療も選択肢の一つと考えられる。そこで、今回RT、CRT後の遺残、再発病変に対する内視鏡的粘膜切除術(EMR)の有効性について検討した。【方法】対象は2003年6月から2011年2月までに当院でRT、CRTを行った後の局所遺残、再発病変に対しEMRを施行した52症例、87病変。年齢中央値66歳(50-81),男女比49:3,治療前のStage I:32,II:4,III:5,IV:11(UICC分類 第6版)。遺残14,再発73,肉眼型:0-IIc82,0-Is5,腫瘍長径中央値11mm(3-30),これらの病変に対しEMRを行い、その治療成績について検討した。85病変でキャップ法(EMR-C)、Is型の2病変でそれぞれ、2チャンネル法、通常のEMR法を用いた。【成績】一括切除率82.8%(72/87),治癒切除率70.1%(61/87)であった。深達度は、T1a-EP:51,T1a-LPM:23,T1a-MM:4,SM1:2,SM2:5,不詳(熱変性):2であった。合併症を6例(1例後出血、5例で術後狭窄)に認めたが内視鏡的治療にて改善した。EMR後7例(13.5%)で再発を来し、追加のEMRを要した。3例(5.8%)で内視鏡治療による局所コントロール不良となりSalvage手術を要した。観察期間中に15例が死亡、内訳として10例がリンパ節転移や肺転移などの再発による原病死であった。観察期間中央値29.8ヶ月,5年生存率51.9%であった。【結論】RT、CRT後の局所遺残、再発食道癌に対するEMRは、安全で病変の局所コントロールに対し有用であることが示唆された。
索引用語 遺残再発病変, 内視鏡治療