セッション情報 パネルディスカッション15(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

食道癌に対する内科的治療と外科的治療の接点

タイトル 消PD15-13:

Clinical T4/M1LYM食道癌に対するDocetaxel/CDDP/5-FU/放射線同時併用療法(DCF-R)の成績

演者 樋口 勝彦(北里大・消化器内科)
共同演者 田辺 聡(北里大・消化器内科), 小泉 和三郎(北里大・消化器内科)
抄録 【目的】現在、他臓器浸潤(T4)や遠隔リンパ節転移(M1 LYM)を伴う食道癌に対しては手術成績が不良であり、5-FU/CDDP(FP)による化学放射線療法が標準治療と考えられている。しかし、CR率は15-33%、MST 13月、3年生存率27%と報告されており、治療成績の向上には新たなレジメンの開発が必要である。Docetaxel(DTX)は放射線の増感作用を有し、FPと併用することで治療成績の向上が期待される。我々はUICC-TMN分類にてT4またはM1LYMを有する食道癌を対象にDTX/CDDP/5-FU/放射線同時併用療法(DCF-R)を行ってきた(Radiother Oncol 87:398-404,2008)。今回、T4/M1LYM食道癌に対するDCF-Rの治療成績を検討した。【対象】T4または放射線照射可能なM1LYMと診断された胸部食道癌患者でM1LYM以外の遠隔転移がなく、2010年8月までに初回治療としてDCF-Rを施行した54例を対象とした。患者背景は男/女:48/6,年齢中央値63歳(45-75歳),PS 0/1/2:24/27/3,TNM分類 T4M0/non-T4M1LYM/T4M1LYM:28/16/10例, 扁平上皮癌/腺癌:53/1であった。【方法】放射線照射50.4-61.2Gyと同時にDTX(Day1)/CDDP(Day1) /5-FU(Day1-5): 20-40/40/400mg/m2を2週毎に点滴静注した。当初、放射線総量は61.2Gyであったが、晩期毒性軽減を目的に途中で多門照射50.4Gyに改変した。同時に放射線期間中のDCFを4コースから3コースに改変した。CRT後はDTX(Day1)/CDDP(Day1)/5-FU(Day1-5):40/60/600mg/m2を4週毎に最低2コース施行した。【成績】放射線総量は61.2Gy/50.4Gy:34/20例、CR率は46.3%(25/54)でmedian PFSは10.9月、MSTは23.1月と良好であった。Grade 3以上の主な有害事象は好中球減少(63.0%),貧血(18.5%),発熱性好中球減少症(33.3%),食道炎(33.3%),食欲不振(33.3%)であった。Grade 3以上の晩期毒性として肺臓炎+胸水貯留/心嚢液貯留/食道炎:2/1/3例に認めた。【結論】本療法は血液毒性,食道炎等の有害事象が強く、その管理に注意を必要とするが,優れた有効性が示され,T4/M1LYM食道癌に対する有望な治療法に成り得ると考えられた。
索引用語 食道癌, 化学放射線療法