セッション情報 |
パネルディスカッション17(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)
胃癌の時代的変遷と将来展望―内視鏡医の視点
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タイトル |
内PD17-3:当院における胃癌の変遷
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演者 |
岡 政志(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科) |
共同演者 |
安藤 さつき(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科), 持田 智(埼玉医大病院・消化器内科・肝臓内科) |
抄録 |
【目的】我が国の胃癌の患者数は戦後増加を続けたが,近年横ばいになってきている。しかし,人口構成,Helicobacter pylori感染者の比率および和食から洋食への食事嗜好の変化,更にはH2 blockerやproton pump inhibitorなどの強力な胃酸抑制剤の登場によって,胃癌の肉眼形態には変化が生じている可能性がある。我々の施設は大学病院で先進医療を実施する一方で,埼玉県西部地区の基幹病院として,地域の胃癌患者の初期診療も担当している。従って,当科における胃癌患者の肉眼型の変遷は,同地域における胃癌の実態の変化を反映していると考えられる。そこで,今回,当科における胃癌患者の肉眼型,組織型を20年間にわたって集計し,その変遷を検討した。【方法】1991年,1996年,2001年および2006~2010年に,当科で上部消化管内視鏡検査を実施した27,422例のうち胃癌症例を対象として,内視鏡的肉眼型および病理学的組織型を再評価した。【結果】同期間に胃癌と診断されたのは412例であり,上部消化管内視鏡検査施行例に対する比率は1.5%であった。この比率は20年間で大きな変動は認められなかった。肉眼型は進行胃癌では,Borrmann 1/2/3/4型の比率が1991年では11.8%/41.2%/35.3%/11.8%,2006~2010年では12.5%/30.0%/45.6%/11.9%であり,時代による変化は見られなかった(p=0.46)。一方,早期胃癌では,0-IIc+III型が1996年の22.2%から2006-2010年には2.6%と大幅に減少していた(p=0.002)。また,0-IIc型早期胃癌に関して分化型癌/未分化型癌の症例数を比較すると,1991年には3例/4例であったのに対して,2010年には8例/0例であり,分化型癌が増加していた(p=0.01)。【考察と結語】進行胃癌症例の肉眼型,組織型は最近20年間で変化が認められなかったが,これは埼玉県西部地区では胃癌検診の受診率が高くないことが原因と推定される。一方,早期胃癌における0-IIc+III型の減少,0-IIc型における分化型癌の増加,未分化型癌の減少に関しては,人口構成の高齢化,生活様式の変化,PPIの登場などが関与していると考えられた。 |
索引用語 |
胃癌, 肉眼型 |