セッション情報 シンポジウム15(消化器外科学会・消化器病学会合同)

下部直腸癌側方リンパ節転移に対する診断と治療方針

タイトル 外S15-9:

下部進行直腸癌に対する術前放射線化学療法と術前MDCTに基づく選択的側方リンパ節郭清

演者 秋吉 高志(がん研有明病院・消化器外科)
共同演者 上野 雅資(がん研有明病院・消化器外科), 福長 洋介(がん研有明病院・消化器外科)
抄録 【目的】本邦では側方リンパ節郭清が下部進行直腸癌に対する標準術式とされているが、欧米では術前chemoradiotherapy(CRT)が標準治療とされている。術前CRTを行う場合の側方リンパ節郭清の必要性については明らかではない。当院では下部進行直腸癌に対して術前CRTを標準治療として行い、術前CT画像で側方リンパ節転移が疑われなければ側方リンパ節郭清は省略している。今回当院における治療方針の妥当性を検証した。【方法】2004年7月から2009年12月までにcStageII~IIIに対し術前long-course CRT(45~50.4Gy+5FU製剤)を施行した96例を対象とした。CRT前のMDCT(16列、5mmスライス)で263/283の側方リンパ節の長径を測定し、側方リンパ節転移や局所再発との関係を検討した。【成績】性別は男性72例女性24例、平均年齢60歳(37-81)、腫瘍の分化度はwell,mod/por,muc,sig=86/10例、平均腫瘍肛門縁距離は40mm(10-80)であった。肛門温存率は61%、側方郭清は29例(30%)に施行し、うち側方転移は17例(59%)に認めた。ypStageはCR/I/II/IIIa/IIIb=8/22/28/15/23例であった。平均観察期間38か月(4-85)、3年overall survivalは94%、3年disease-free survivalは78%、3年局所再発率は5.0%であった。側方郭清非施行群(A群、n=67)、施行群(B群、n=29)のCRT前側方リンパ節の平均長径はそれぞれ2mm(0-11) 、11mm(0-24)であった。A群では局所再発を4例に認めたが、側方リンパ節領域の再発は1例のみ(他仙骨前面1例、右骨盤壁2例)で、肺転移切除後に側方リンパ節の郭清を行い現在無再発生存中である。B群では現時点で局所再発を1例も認めていない。B群におけるCRT前リンパ節長径に基づく側方リンパ節転移の診断精度はarea under the ROC curve (AUC)=0.78、カットオフ値を8mmとした場合の感度100%、特異度33%、PPV68%、NPV100%、accuracy72%であった。【結論】術前CRTと術前MDCTに基づく選択的側方郭清により下部進行直腸癌において良好な局所再発制御が得られた。
索引用語 側方リンパ節, 直腸癌