セッション情報 |
パネルディスカッション17(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)
胃癌の時代的変遷と将来展望―内視鏡医の視点
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タイトル |
検PD17-8:当検診センター20年間の早期胃癌の変遷―逐年検診効果からH.pylori未感染者胃癌の増加まで―
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演者 |
青木 利佳(香川県立がん検診センター・消化器科) |
共同演者 |
安田 貢(香川県立がん検診センター・消化器科), 山ノ井 昭(香川県立がん検診センター・消化器科) |
抄録 |
【目的】香川県立がん検診センター設立から20年が経過し,その間に発見された胃癌についての臨床病理学的特徴の変化を検討する。【対象と方法】対象は平成(H)3年から22年までの20年間に当センターで発見された胃癌で,20年をI期(H3-7年),II期(H8-12年),III期(H13-17年),IV期(H18-22年)の4期に分け,その臨床病理学的特徴を調査した。調査項目は,年齢,性別,早期癌比率,早期癌におけるM癌の比率,長径,肉眼型,組織型,内視鏡治療症例の割合,H.pylori(HP)未感染癌の割合等である。HP感染の有無については,血清HP抗体,pepsinogen,CagA抗体,尿素呼気試験,顕鏡,HP染色等の複数の検査を用いて判定した。【結果】(1)全胃癌数は822例で,うち早期癌は538例(65.4%)であった(I期159例,II期158例,III期101例,IV期120例)。年齢はやや高齢化し,男性が増加する傾向を認めた。(2)M癌の比率は,I期52.8%,II期58.2%,III期68.3%,IV期72.5%と徐々に高くなり,長径もI期2.7cm,II期2.9cm,III期2.2cm,IV期1.8cmと小さな癌が増加していた。肉眼型に陥凹型が多い点については変化なかったが,組織型ではやや分化型が増加する傾向にあり,内視鏡治療症例もI期6.3%,II期16.4%,III期32.7%,IV期46.7%と著増していた。(3)早期癌のうち,HP未感染癌を調べると,I期0例(0%),II期1例(0.6%),III期1例(1.0%),IV期5例(4.2%)と明らかな増加を認めた。【考察】より小さな胃癌が発見され,外科手術を免れる症例が増加してきたことは,この20年間の推移を見るだけでも明瞭である。その要因は内視鏡機器と治療法の進歩に加えて,高齢化の影響と,逐年受診者の増加,とりわけ胃癌リスクが高い受診者に対して毎年検診を実施しているからではないかと考えられた。また,最近HP未感染者の胃癌が増加傾向にあり,これにもいくつかの要因があると思われるが,今後の胃癌検診における重要課題の一つである。 |
索引用語 |
胃癌, H.pylori |