セッション情報 | パネルディスカッション17(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)胃癌の時代的変遷と将来展望―内視鏡医の視点 |
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タイトル | 内PD17-9:Helicobacter pylori 陰性症例に発生した胃癌の特徴 |
演者 | 伊藤 公訓(広島大大学院・分子病態制御内科学) |
共同演者 | 松尾 泰治(広島大大学院・分子病態制御内科学), 茶山 一彰(広島大大学院・分子病態制御内科学) |
抄録 | 【背景、目的】Helicobacter pylori (H. pylori )未感染者に胃癌が発生することは稀とされる。そのため、H. pylori 未感染者は対策型検診対象から除外できる可能性がある。しかし、H. pylori 陰性胃癌の実際の頻度や、その臨床的特徴についての報告はほとんどない。今回我々は、H. pylori 陰性胃癌について、発生頻度、内視鏡所見・血清学的所見の特徴について検討した。 【方法】対象は1996年から2010年9月までに当院および関連病院にて診断されたH. pylori 陰性胃癌症例26例(男性13例、平均年齢56.4歳)である。本検討では、鏡検法、培養法、抗体法、UBTのうち2つ以上の方法でH. pylori 陰性が確認され、組織学的胃炎を認めないものをH. pylori 陰性症例と定義した。血清抗体測定と同時にpepsinogen I, II 値を測定した。免疫組織学的検討が可能であった16例について胃癌組織の粘液形質について検討した。また、当院で経験したH. pylori 陰性胃癌21例につき、同時期に当院にて診断した全胃癌症例を母集団としH. pylori 陰性胃癌の頻度を求めた。 【結果】H. pylori 陰性胃癌は、H. pylori 陽性胃癌と異なり、性差は少なく、組織学的に未分化型が高頻度であった。肉眼型は0-IIcが多く、血清学的検査を行った17例では、全例ペプシノゲン法陰性であった。粘液形質では全例で胃型形質を発現しているが、半数において腸型形質も同時に発現していた。当院における全胃癌中のH. pylori 陰性胃癌の頻度は3140例中 21例で頻度は0.67%、内視鏡治療を行った胃癌においては1629例中13例で頻度は0.80%であった。 【結語】H. pylori 陰性胃癌の頻度は全胃癌の1%未満と推測され、臨床病理学的に通常胃癌と異なった特性を示す。 |
索引用語 | H.pylori 陰性胃癌, H.pylori 陽性胃癌 |